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 年/月

6913号

【主な記事】

民営化委 資金シフトなし
限度額 所見を踏まえ詰め
次世代郵便局 健康指導や遠隔医療も

 第178回郵政民営化委員会(岩田一政委員長)が11月30日に開かれた。「日本郵政グループの2018年3月期中間決算」や「2017年度第2四半期のゆうちょ銀行の貯金残高」「次世代郵便局への期待」などについて、関係者にヒアリングを行った。
 全国郵便局長会が提出した「高齢者には限度額についての説明が難しい」という意見についても議題に上り、岩田委員長は「2015年12月に示された民営化委員会の所見を踏まえ議論を詰めている」と述べた。
 ゆうちょ銀行の9月末の貯金残高は179・4兆円。3月末と比べて変化していない。個人貯金は9月末が176・5兆円で、前年同期と比べて0・7兆円増加した。定期性貯金が2・7兆円減少する一方で、流動性貯金(通常貯金・振替貯金)は2・9兆円増えている。
 委員からは資金シフトとゆうちょ銀行の経営への影響を問う質問があり、ゆうちょ銀行では「これまでと同様に預金がシフトしているとは思っていない。経営への影響もない」と回答した。
 委員からは「全国郵便局長会から、現在の限度額の仕組みは高齢者への説明が難しい、という意見が寄せられているが、どのように考えるのか」という質問があったという。
 ゆうちょ銀行は「現在の仕組みは通常貯金と定期性貯金を合算して利用者の方で限度額を管理する必要があり、利用者にも現場の社員にも負担になっている」と現状を説明。「分かりやすくなる一つの方法として、限度額から通常貯金を外せば、定期性だけを管理すればよいため、そういうことも考えられる」という意見もあったという。
 岩田委員長は限度額引き上げについて「2015年12月に発表した今後の郵政民営化の推進の在り方に関する郵政民営化委員会の所見の中に、限度額の引き上げについて、①通常預金を限度額の管理対象から外す②限度額を一定額まで引き上げる③通常貯金を限度額管理対象から除外し定期性貯金の限度額を一定額まで引き上げるという方法が示されているが、これらを踏まえ議論を詰めていきたい」と述べた。
 次世代郵便局へのアクセンチュアの提案について岩田委員長は「ITなど新たな技術により新しいサービスが生まれてくることは利用者の利便性が高まる。私は前向きに捉えるべきだと考えている。潜在的な可能性は極めて大きく、大いに期待したい」と述べ「郵便局の事業については経営判断ではあるが、どのような次世代郵便局が望ましいか。現在進めている『郵政民営化の進捗状況の総合的な検証』にも委員会としてどのように考えるかを打ち出したい」と述べた。
 岩田委員長は、アクセンチュアの提案にある「次世代型“町の郵便局”」について「郵便局は様々な分野で活用されることが望ましいが、特に健康管理と遠隔医療のニーズが高いと思う。会津若松市で行っているような健康管理と同じ様な仕組みを使い遠隔医療を行う。例えば離島など近くに医療機関がない地域では、個人が直接病院にアクセスすることができない場合は、郵便局を通じてアクセスすることは十分考えられるのではないかと思う」と述べた。
 アクセンチュアでは郵便局の将来像として「自治体、企業、市民に寄り添った課題解決型のサービス」を重要とし、郵便や荷物の配達のほか、困りごと解決サービスや手続きの代行、行政施策のサポート、オペレーションの代行などを提案している。その中には、みまもりサービスや高齢者の支援、健康指導・遠隔医療、子育てワンストップ(手続き代行)、企業の販売代行などが含まれている。
 また、海外の事業多角化の事例として、イタリアポストの店舗網や配送網を活用した裁判所や警察の罰金徴収の代行業務を挙げている。


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