「通信文化新報」特集記事詳細
第6912号
【主な記事】ゆうちょ銀行が5000億円
[日本郵政 長門社長]海外ファンドに投資
日本郵政の長門正貢社長は11月22日の記者会見で、自民党の郵政事業に関する特命委員会が、ユニバーサルサービス確保のために制度的措置として交付金制度の創設を検討していることに関し、「ユニバーサルサービス確保のために非常にありがたい。今後の国会等における検討を見守りたい」と歓迎の意向を明らかにした。また、ゆうちょ銀行が、運用強化策の一環として、新たに企業に直接貸し出す海外の「ダイレクトレンディングファンド」に3000億円強、不動産関連のファンドにも2000億円強、合計約5000億円を投資するとした。さらに、投信関連の上期の販売額が3577億円と民営化以降最高記録となり、残高が1兆5216億円となったことを明らかにした。
長門社長は2018年3月期の中間決算については「グループ連結純利益ベースで前年同期比2割増とまずまずだった」とし、通期業績予想の進捗率は「ゆうちょ銀行、かんぽ生命とも5割を超えており好調。日本郵便は年賀はがきの関係で下期の収益が高くなるというビジネスモデルなので、上期は5割に達していないが、まったく心配していない。予想通りに進んでいる」との考えを明らかにした。
豪トール社に関しては「昨年度の第4四半期、EBITベース(利払い前の税引前当期利益)で300万豪ドルの赤字、今年度第1四半期が900万豪ドルの赤字、第2四半期は4200万豪ドルの黒字となった。今年度収益は昨年度収益を超え、昨年度が底だったと言うようにできると思う」とした。
そして「中間配当も予定通り実施して、通期見通し、期末配当予定も変更はない。アナリストレポートも数々出ており、想定通りとか堅調な推移、サプライズなし、株価反転には材料に乏しいなどと意見があるが、叱咤激励と思い、今年度は中期経営計画の最終年度なので、予定通りきっちりと実行したいと思っている」と強調した。
また、最近の動きについて、自民党の郵政事業に関する特命委員会においてユニバーサルサービス確保のための制度的措置として交付金制度を創設する意向があることに関し「ユニバーサルサービス確保のための制度を検討いただけることは非常にありがたいと思っており、今後の国会等における検討を見守りたいと考えている」と歓迎の意向を明らかにした。
11月1日に設立した日本郵政キャピタルについては「第1号案件として11月7日、株式会社フィル・カンパニーの株式取得を発表した。この他に案件がいくつかある。トータル生活サポート企業として、新業務の種を探していくため引き続き活動していく」と述べた。
ゆうちょ銀行では「地域経済貢献のために地銀とファンドを設定しているが、先般の京都関連のファンド2件が直近で、これまでに合計9件、出資予定総額は34億円となっている。しばらくはこうした案件を続けていきたい」と地銀と連携しての出資に意欲を示した。
そして「信用運用の深堀りをすると申し上げているが、ダイレクトレンディングファンド投資を決定した。これは海外にある中堅企業への貸出し融資を集めたファンド。銀行融資を束ねるのではなくて、ファンドの組成者が直に中堅企業に貸し出しているが、3000億円強を投資する。今までやったことのない海外の中堅企業への貸出しについても参加していきたい」とした。
さらに「従来から3000億円くらいの不動産関連のファンドにも投資していたが、新たに2000億円強になるが、海外の不動産ファンドへ投資する。従来はコアな不動産案件にだけ投資していたが、今回はちょっと変わったニッチを狙った不動産案件も中に絡めているようなファンドだが、資産運用活動の一層の深掘りを展開する」と語った。
ゆうちょ銀行に関しては「投信関連として上期の販売額が3577億円と、民営化以降最高記録を計上した。結果、現在の残高が1兆5216億円となっている。10月から申し込み受付が始まった積立NISAも、当初計画の予想を上回って獲得できており、順調な滑り出しと考えている。ゆうちょ銀行の場合、NISAから積立NISAへの切り替えではなく、新規のお客さまが大半を占めている」と強調した。
「全国約1万8000の郵便局で案内をし、233のゆうちょ銀行直営店と1415の郵便局で申し込み受付をしているというネットワークの大きさ、シンプルで分かりやすい商品を厳選、最低購入金額が1000円からと利用しやすい方式を準備した。こういう特徴が生きて既存NISAと比べて、資産形成層40歳代未満の利用割合も高く、想定したターゲット層のお客さまに予約をいただいている」と現状を報告した。
年末の郵便局の繁忙については「郵便局は最も忙しい時期を迎えている。12月1日からは百貨店からのお歳暮の荷物配送が本格化し、ゆうパックの増加が見込まれている。この時期は平常月の5割増くらいになるが、今年はネット通販がますます活況化しており、競合他社の動きもあって一部が我々に流れているのではないかと思われる」との見方を示した。
また「前年に比べて1割から2割強以上の増加を見込んでおり、荷物の区分けや配達の体制など、例年以上に万全の体制で臨んでいきたい。平成30年用の年賀はがきは11月20日現在、対前年に比べて93%、約13億枚という販売状況。嵐をコミュニケーションパートナーに起用したり、戌年なのでスヌーピーを活用したり、様々な工夫をしているので、多くの人に差し出してもらいたい」と呼びかけた。
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