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 年/月

第6911号

【主な記事】

郵便局のみまもり 3000件を超える実績

 東京都国立市の国立郵便局は、中村友則局長が本社でみまもりサービスの担当をしていたこともあって、思い入れも深く「郵便局の将来に絶対に必要なサービス」と積極的に取り組んでいる。
 国立市はJR中央線の国立駅の南部、一橋大学のキャンパスや閑静な住宅地が広がる自然と融合した文教地域。面積は8.15平方キロ、人口は約7万5000人(約3万7000世帯)。国立局の社員は182人、1日の来局者は約250人と多い。
 日本郵便トータル生活サポート事業部の安田良仁課長は「今年は、みまもり訪問サービスの獲得目安が1局1件、単マネ局は機能別に1件となっている。東京ではまだ件数が伸びていないが、その中でも国立局が2件の実績を挙げている」と話し、積極的にPR活動を展開していることを評価している。
 中村局長は「8月から予約が始まり、10月からのサービス開始に向けて、まず社員にサービス内容を理解してもらうため、DVDを使った研修から始めた。そうすると意識も高まり、自然発生的に様々な取組みが芽生えてきた」と語る。
 窓口では8月から「みまもり訪問サービス」と題して、サービス内容を知らせる飾り付けを行い「派手にPRした」。窓口ではパンフレットやティッシュの入った案内を渡して説明、局前には幟も出している。
 また、2輪車(40台)と軽四輪(16台)にはオリジナルのPRステッカーを貼って、市内を走っている。ステッカーは2輪車は左側、軽四輪は右側に貼ることによって、社員が乗る際に目にすることで、常に認識してもらおうという趣旨も込めている。
 廊下には東京支社が出している「Tokyoみまもりタイムズ」も掲出、特に社員食堂につながる壁には、話法などを内容とする「アプローチガイド」を貼り出し、常に社員の目に留まるようにしている。
 さらに、社員全員が「アイキャッチャー」を付けている。「お客さまが目に留め『それはなんですか?』という声かけもいくつかいただいている」。社員同士がすれ違ったり、打ち合わせをしているときでも「アイキャッチャーを付けていれば、サービスをしているということが、常に意識の中に入る」という狙いもある。
 みまもりサービスは始まったばかりで、まずは広くPRに取り組んでいるが、中村局長は「営業活動は三事業がメインで、現在は年賀はがきの時期。貯金は比較的好調だが、保険は厳しい状況。ただ、保険で断られたら、こんなサービスも始めましたと言うこともできる。みまもりから声をかけるという方法もある。相乗効果を大いに期待している」と強調する。
 単マネ局は機能別に1件の獲得目安だが、国立局では全社員が意識を合わせ、更に上を目指している。

社員は必要性・将来性を理解
年末年始はPRに最適

 「郵便局のみまもりサービス」が始まったが、積極的に取り組んでいる東京都国立市の国立郵便局の中村友規局長は「これからお客さまとの接点が多くなる時期で、大いにPRしていく。子世代が年末年始に里帰りするときに、『実はこんなサービスがある』と話をしてもらうことも期待できる。年末で忙しいがPR活動をしていく」と強調している。

■地域は大学の広いキャンパスがある文教地区と同時に、住宅地が広がっています。高齢者の方は多いのでしょうか。
 団地も近くにありますが、高齢化は進んでいます。高齢者は多いです。また、国立市内には約130軒の農家があり、「くにたち野菜」や「多摩川梨」などを生産しています。

■高齢者本人がサービスを申し込む可能性はありますか。
 高齢者本人へのアプローチというのは少し厳しい面があるというのが感想です。窓口に来るお客さまは基本的には元気です。高齢者と言っても幅があり、60代は自分が高齢者だとは思っていないですね。
 ただ、60代も遠いところに親がいるケースがあります。高齢者に直接アプローチというよりも、まんべんなく声かけをすると、「実は遠くに親が住んでいて」という反応をいただくケースの方が多いです。
 お年寄りであっても声かけは「こんなサービスを始めたのですが、遠くに親御さんはいらっしゃいませんか」という言い方で始めるようにしています。

■高齢者本人へ直接的に勧めることは難しさがありますね。
 そうです。「あなたをみまもります」というと、やはり反応が良くないというのは実感として社員も分かっているようで、おそらく地域柄もあるのかもしれませんが、やはりメインは子世代への営業と思っています。

■社員はどんな気持ちで取り組まれていますか。
 各社員がサービスの必要性・将来性を理解し、率先して営業活動を行ってくれています。特に金融系の社員は、このサービスが行く行くは自分たちのお客さまの拡大に繋がっていくという実感があるのではないでしょうか。
 長期スパンですので、直ぐにはということはありませんが、関係性が強まれば金融商品の販売にも効果的だというところは良く分かってくれています。郵便・物流系の社員にも、年賀はがきやカタログ販売、ゆうパックの拡大に繋がるという意識が芽生え始めているように感じます。
 今は高齢者を持つ個人への営業がメインですが、事業所向けの営業も可能性があると思います。会社と契約して、社員の福利厚生として提供するというのは、将来的にはあり得ると思っています。

■事業所へのPRも実施されましたか。
 区内の事業所には、局長名の手紙と一緒に年賀はがきや年賀DM、年賀タウン、切手などの案内を入れたダイレクトメールを届けましたが、その中にみまもりサービスの開始をお知らせするパンフレットを同封しました。

■みまもりサービスについて、地域のお客さまの反応は。
 高齢化社会ということもあり、自分に関係がなくても「良いサービスを始めましたね」と言ってもらえます。周りの人に紹介するとか、親御が遠くに住んでいるので検討したいと前向きに受け止めていただいています。
 そこから成約というところまでは、もう一段のハードルがあるのだろうと感じています。契約は子世代がメインになるのでしょうが、実際に訪問を受けるのは親なので、どういう人が行くのだろうという不安もあります。親に相談したらいらないと言われたケースもいくつかあったようです。契約する側とサービスを受ける側のギャップをどう埋めていくかという難しさはあります。

■地方の親には郵便局がアプローチしているかもしれません。日常に接触している郵便局長だと話が通りやすいですし、情報の共有化も重要です。
 サービス内容を、子どもの話だけでどの程度まで理解していただけるかということはあります。実際に契約をしたいが、親がもう少し話を聞きたいというケースが1件あります。
 このケースは東京都内ですので、私が行って説明したいと思っています。契約者の子世代、サービスを受ける親世代の両者が、しっかりと納得することで、契約に繋がりやすくなると思っています。
 このサービスは、まさに今まで顔なじみの人が来るということが一番だと思います。地方との情報の共有化ということもできるようになれば、営業しやすいというのがあるかもしれません。

■これからの取り組みで特に力を入れられることは。
 年賀はがきやお歳暮ゆうパック、年内に追い込む金融商品などがあり、どうしてもそちらがメインになりますが、お客さまとの接点が多くなる時期ですので、みまもりサービスもPRしていこうという声かけはしています。
 子世代が年末年始に里帰りをします。その時に「実はこんなサービスがあるのだけれど」と話をしていただくことも期待できます。年末で忙しいですが、積極的にPR活動をしていくのが良いと考えています。
 窓口ではパンフレット、ティッシュペーパーの入った案内をお渡ししています。また、集配営業でも1軒でもお渡ししてくるだけでいいということであれば、そんなに手間にはならないはずです。郵便局一丸で取り組むという姿勢が大事です。年賀はがきがメインですが、このタイミングで行うのが意味があると思っています。
 年賀はがきだけ売りに行くと、また販売かということもありますから、「実はこうしたサービスが始まったのですよ」と言って、きっかけづくりにもなります。うまく使えるはずで、また誰でも売ることができます。年賀はがきと同様に、行く行くは各機能部門をつなぐようなサービスになり得て、マネジメントにも活用できるのではないかと思っています。
 「年賀はがき局長推賞」に併せて「みまもり局長推賞」も行っています。パンフレット、ティッシュペーパーをお渡しして、内容を説明した社員に“ささやかな”賞品を出す「みまもり推進賞」、成約した社員には“豪華な”賞品となる「みまもり成約賞」を贈ることにしています。

■エリア局との連携は。
 エリアの局は地域との密着度が強いし、このサービスが必要だという意識が高いと感じています。本社でもみまもりサービスの担当だったので、詳しい中身について教えて欲しいと頼まれることも多いです。PR活動は積極的に行っていただいています。
 まだ、訪問そのものの作業は部会では出ていないので、実務的な連携というところまでは至っていませんが、情報交換を含めてPR活動ではお互いの特色を活かしながら行っています。

■郵便局経営で心がけていることは。
 全員参画です。様々な社員がいて意識の濃淡も当然あります。しかし、どんな形であれ参画するということが大切です。必ず得意分野はあるはずですから、それを活かした参画の仕方があると思います。
 参画というのは組織貢献です。誰一人として漏れることなく参画意識を持つことが、局全体の雰囲気を盛り上げて、働きがいと活気のある職場をつくっていくものと考えています。



 


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