「通信文化新報」特集記事詳細

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第6911号

【主な記事】

全国郵便局長会 地方創生取組発表会
経済発展、人口増に貢献


 全国郵便局長会(青木進会長)は「地方創生取組発表会」を11月18日、東京都千代田区の都市センターホテルで開催した。総務省、内閣府郵政民営化委員会、日本郵政グループの幹部をはじめ多くの来賓を招き、地区会長や地域貢献・地方創生専門委員会のメンバーが参加した。青木会長は「地域貢献に力点を置いてきたが、地域の発展なくして郵便局の存在もないことから、取組みの軸足を地域創生にシフトさせてきた。地方創生は地方公共団体の要望に丁寧に応えること、地域の経済発展や人口増の取組みを応援することを柱にしている。今後も地域と一体となって推進する」と意義を語った。

 青木会長が「全国郵便局長会は昭和28年の発足当初から地域に密着し、地域の発展を目的に活動を展開してきた。中でも地域貢献施策には力点を置き、例年は地域貢献発表会を開催してきたが、近年は地域創生が強く叫ばれていることや、地域の発展なくして郵便局の存在もないことから、軸足を地方創生にシフトした。地方創生の取り組みは二つの柱を据えている。一つは地方公共団体の要望に丁寧に応えること、もう一つは地域の経済発展や人口増の取組みを応援することだ。また、郵便局だけではなく、地域と一体となって推進する」と述べた。
 また「地方会でも地域貢献・地方創生専門委員会で取組みを推進しているが、『縮小ニッポンの衝撃』と『未来の年表 減少する日本でこれから起きること』(いずれも講談社現代新書)を読んでいただくようにした。正直に言って暗澹たる将来が暗示された内容。このまま放置していたらどうなるのかということだが、裏を返せば対策を講ずれば未来は開けるということでもある」と強調した。
 さらに「例えば高齢者の年齢定義を70歳以上と解釈し直せば、高齢化率は大幅に下がり、それを前提にした社会や地域を再構築できれば高齢化の縮小、衰退というマイナスイメージを払しょくできる。地方創生とは地域の中で未来を一緒に考えることで、郵便局の取組みだけで地域に恩恵を与えるというようなものではない。地域の中に溶け込み、一緒に郵便局が活動するという認識を持って欲しい。要は1プラス1が2プラスαとなる取組みだ。そして、このプラスαは会員の知恵によってもたらされるものだ」とした。
 そして「地方創生の好事例はそのまま横展開しても失敗する。我々が取り組んでいるのは、日本創生ではなく地方創生。地方創生は全国一律というものではない。好事例を参考に、プラスαのアプローチをしていって欲しい」とあいさつした。
 来賓の紹介に続いて各地方会の代表から地方創生に大きく貢献している郵便局、郵便局長の取組みが発表された。
 地域貢献・地方創生専門委員会の佐藤賢之介主任理事が講評。「地方創生はヒト、モノ、カネをどうやって都市部から地方に、私は『戻すのだ』という言い方をしているが、この三つをアイデアを出してどうやって動かすかだろう。また、個人としても組織としても地方創生を担えるのは、まさに全特の強みと思う」と講評した。
 山本利郎副会長が「地域貢献や地方創生の取組みは、本来は優劣をつけるものではないと思うが、活動するに当たって資金がかかる施策もある。資金援助のつもりで賞金が出るが、地方創生の活動に役立てていただきたい」と述べて、審査結果を発表した。
 最優秀賞には北陸地方会の石川県北加賀地区会、小林宏至局長(吉野)〈補助者は石山諭局長(三谷)〉が発表した「『石川県と日本郵便株式会社北陸支社との包括連携協定』の具体的項目の実現に向けた取組み」が選ばれた。
 また、優秀賞は東北地方会の青森県西部地区会、中村純一局長(内潟)〈補助者は十三裕和局長(北金ヶ沢)〉、信越地方会の新潟県佐渡地区会、渡辺明則局長(小木宿根木)〈補助者は岩﨑隆局長(沢根)〉、東海地方会の静岡県東駿河地区会、佐野順一局長(猪之頭)〈補助者は水村卓人局長(柚野)〉となった。
 最優秀賞となった石川県北加賀地区会の小林局長の発表は、地元を良く知る石川県内254の郵便局長が、生活相談等のサポーターとして、移住希望者が地域に溶け込めるよう手伝いをしていることや、観光の振興に大きく貢献している内容。
 青木会長から表彰状などが贈られ、山本副会長が「発表を聞くと心が洗われるような思いだ。全国でこれだけ一生懸命やっている仲間がいるのだということで、頼もしく感じられる。従来からの我々の身体に染み込んでいる地域貢献の上に、地方創生の活動があると思う。日ごろの地域との関係が密でなければ、地方創生と言っても難しい。今後も地域貢献を展開、そして地方創生を行って欲しい」と期待を込めた。
 また「継続性が重要。継続することで地域における信頼、人間関係も構築できる。活動をすればするほど、現場の局長に負荷がかかっていくのは間違いない。本社、支社、そして我々の役割分担をいかにしていくかが、今後は大事な要素となっていく。今はとにかく走っていくことが大事かなと思う」と述べた。
 さらに「地方公共団体などと協定を結ぶことが大事だが、それが目的ではない。更に関係を密にして地方創生の一助に我々がなっていくことだ。地方創生に局長会の力を発揮していただきたい」と語り、発表会を終えた。
 発表の合間には福島県飯舘村の菅野典雄村長が「『成長社会』から『成熟社会』へ」と題して、福島第一原発事故による全村避難を乗り越えていく過程や郵便局を守ってもらった感謝などについて講演した。
 自宅につながる敷地内の道が、郵便配達で使用することで、舗装に復興予算が執行されることになったエピソードも披露された。
 また、エキジビジョンとして九州地方会の福岡県筑前東部地区会の岩熊慎吾局長(下境)〈補助者は藤田佳男局長(中間)〉が「郵便局の婚活『ポスコン』~手紙から始まる恋物語」を発表して好評だった。
【地方創生取組発表大会のテーマ、発表者・補助者(発表順)】
《沖縄地方会》沖縄県先島地区会=スポーツで創る地方創生▽発表者・川島靖史局長(与那国)▽補助者・前本充局長(石垣新栄)
《東京地方会》東京都東京中央南地区会=地方の想いに向き合う東京(東京で出来ないことを地方で活かす)▽発表者・江副郁子局長(目黒碑文谷二)▽補助者・菅原徹局長(東京ミッドタウン)
《九州地方会》鹿児島県東部地区会=生きるために~熊本地震災害支援から派生した地方創生~▽発表者・湯川寛樹局長(野井倉)▽補助者・新川力也局長(野方)
《近畿地方会》大阪府南部地区会=地道な地域活動から地方創生までの道のり▽発表者・巽要輔局長(泉佐野鶴原)▽補助者・森振一郎局長(岸和田岡山)
《関東地方会》千葉県東南地区会=私の地方創生活動~地域とともに歩む~▽発表者・関裕仁局長(総野)▽補助者・今井暁雄局長(一松)
《北海道地方会》北海道南空知地区会=地方公共団体と連携した郵便局の地方創生▽発表者・高松英樹局長(三川)▽補助者・宮野稔局長(夕張清陵)
《中国地方会》島根県出雲東地区会=離島からの挑戦~自立への限りなき前進~▽発表者・日野恵美局長(五筒)▽補助者・小野克邦局長(大久)
《四国地方会》愛媛県南予地区会=地域未来サポーター▽発表者・清家裕二局長(宇和海)▽補助者・岩城健太郎局長(嵐)
《信越地方会》新潟県佐渡地区会=結を繋ぐ島 佐渡▽発表者・渡辺明則局長(小木宿根木)▽補助者・岩﨑隆局長(沢根)
《北陸地方会》石川県北加賀地区会=「石川県と日本郵便株式会社北陸支社との包括連携協定」の具体的項目の実現に向けた取組み▽発表者・小林宏至局長(吉野)▽補助者・石山諭局長(三谷)
《東海地方会》静岡県東駿河地区会=やばいぞ!猪之頭!俺っちの創生!すべては定住のために▽発表者・佐野順一局長(猪之頭)▽補助者・水村卓人局長(柚野)
《東北地方会》青森県西部地区会=地域とともに歩む青森県西部地区会 地域特産品残渣利用による商品開発▽発表者・中村純一局長(内潟)▽補助者・十三裕和局長(北金ヶ沢)
《エキジビジョン・九州地方会》福岡県筑前東部地区会=郵便局の婚活「ポスコン」▽発表者・岩熊慎吾局長(下境)▽補助者・藤田佳男局長(中間)


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