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第6907号

【主な記事】

“にぎわい創出”へ連携
四国支社 JR 四国と協力協定


 四国支社(丸山元彦支社長)とJR四国(半井真司社長)は「四国地域における協力に関する協定」を締結した。日本郵便は郵便・金融サービス、JR四国は鉄道という公共サービスを担い、人々の暮らしと共にある企業であり、それを維持していく取組みは各々の経営課題であるだけでなく、重要な社会的使命でもある。

 四国は全国に先駆けて人口減少と少子高齢化が進み、地域経済縮小や地域社会の衰退という課題に直面している。これらの解決策として、両者の経営資源を生かし、四国のにぎわい創出による双方のサービス維持・業績向上に連携協力して取り組むことを目的に協議を重ねてきた。この連携事業が全国に向けた「にぎわい創出によるモデルケース」となることを目指している。
 9月25日にはJR四国本社(香川県高松市)で合同記者会見を行い、協定締結を発表している。協定締結式は10月19日にJRホテルクレメント宇和島のクレメントホールで行われ、丸山支社長と半井社長との間で協定書が交わされた。
 半井社長は「両者とも社会的使命が極めて大きいサービスを展開している。四国では人口減少、都市部への人口集中、それらに基づく地域経済縮小と、厳しい環境下に置かれ、サービスを今後各々どう維持・拡大していくかが大きな共通の経営課題。来年度以降も相談しながら四国各所へ展開を広げ、にぎわい創出に貢献していきたい」と語った。
 丸山支社長は「4月頃にJR四国へ、協定を結ぶことで四国のにぎわい創出へ何かやりませんかと相談し、そこから約半年間準備してきた。両者とも地域の元気があってこそ、様々なサービスが提供できる。両者の協力で地域を活性化できると思う。予土線沿線の郵便局も協定に基づいて、いろいろな活動を今後はやっていきたい。成功例を四国全体に展開できるよう、知恵を出し合いながら取り組んでいく」と強調し、協定書に署名した。
 協定書の内容は、両者が地域を巻き込んだ連携事業に取り組み、人口減少が急速に進む四国地域のにぎわい創出に寄与すること、双方の業績向上に資するため協力に関して必要な事項を定めることが目的。連携事業の内容は「地域色を生かした商品開発・販売による情報発信」「観光シーズン等の共働イベントによる四国内外からの観光客誘致」「郵便局や駅舎などの施設の相互利活用の検討」「無人駅等の状況確認に関する協力」「有効期間等の規定外事項」について連携・協力することとなっている。
 初年度の主な取組み内容は次のとおり。
▽鉄道ホビートレイン車内に特設ポストを設置し、お客さまが手紙やはがき(普通郵便限定)を投函すると、予土線オリジナルの小型記念通信日付印を押印の上郵送する。
▽フレーム切手2種「ひと結び 予土線 ~愛媛の旅~」「ひと結び 予土線 ~高知の旅~」の限定販売(愛媛版は愛媛県南予地域の郵便局等、高知版は高知県西部地域の郵便局等で販売。82円10枚1300円で1000シート限定)。
▽ポストカード3種「牛鬼祭りと予土線 鉄道ホビートレイン」「滑床渓谷と予土線 海洋堂ホビートレイン」「一斗俵沈下橋と予土線 しまんトロッコ」販売(愛媛南予・高知西部地域の郵便局等で販売。各185円)。
▽連携協定締結記念入場券「ひと結び 予土線」の限定販売(宇和島・窪川・松山・高知の各駅とJR四国ツアーWEBで販売。宇和島・近永・松丸・江川崎・窪川の各駅の大人普通入場券5枚セットで800円)。
▽「ひと結び予土線沿線郵便局マップ」の無料配布(予土線の駅や沿線の郵便局、しまんトロッコ乗車のお客さまを中心に配布予定)。
▽予土線沿線の無人駅等の状況確認。日本郵便社員が業務中、駅舎等で異常を発見した際に対象駅の管理駅へ連絡。緊急を要する場合は消防や警察等関係機関に直接通報する。
 これらのほか、ひと結び予土線便りコンテストの実施なども予定している。
 締結式に続き、宇和島駅2・3番ホームでお披露目式が行われた。日本郵便から丸山支社長、浦瀬孝之主幹地区統括局長(愛媛県南予地区連絡会統括局長/下大野)、脇泰司松山中央局長、JR四国から半井社長、西田昭広宇和島駅長が出席。両社関係者も多数見守ったほか、ぽすくまとJR四国キャラクター「すまいるえきちゃん」も駆けつけた。
 丸山支社長、半井社長のあいさつに続き、宇和島済美保育園の園児たちが「ヤギさんゆうびん」「線路は続くよどこまでも」を可愛く合唱。丸山支社長から半井社長へフレーム切手とポストカードが、半井社長から丸山支社長へ連結協定締結記念入場券と予土線オリジナルマップが贈呈された。
 そして今回のメイン、鉄道ホビートレイン車内に設置された特設ポストがお披露目され、園児代表2人が初投函を行った。JRの電車内へのポスト設置は初となる。
 15時35分、電車は西田駅長の出発進行の合図で大きな拍手に包まれる中、窪川駅に向けて出発した。四国の中でも予土線沿線は人口減少の課題があるエリア。郵便局と駅が比較的近くに位置し、連携が図りやすいことに加え、景色が良くて観光素材があるエリアでもあり、今後イベント等が展開しやすくて成功事例も導きやすいことから、宇和島の地でスタートすることとなったという。


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