「通信文化新報」特集記事詳細

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第6903号

【主な記事】

列島縦断防災・減災公開講座in仙台
自然災害への備えを
日本防災士機構

 日本防災士機構では、防災士へ最新の防災情報を提供することや、国民へ分かりやすく防災啓発を行うことをめざし、社会貢献事業の一環として「防災・減災公開講座」を開催している。9月7日、日本防災士機構主催、東北地方郵便局長協会と防災士会みやぎの共催、仙台市の後援による「列島縦断防災・減災公開講座in仙台」が仙台市の国際ホテル仙台で開催され、防災士資格を持つ局長や一般参加者、関係者ら約400人が参加した。
 齋藤徳美岩手大学名誉教授が「頻発する自然災害への備えと防災士の役割」と題し講演。阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震などを振り返り「想定外の大地震は今後も起こりうる。地震の予知は現時点ではできないので、危機管理対応や災害に強い街づくりといった減災への取組みが必要となる。自分の住むところがどんな状況か知っておくと同時に、どんな災害が起き、どういう被害が発生するかといった想定も必要」と指摘した。
 防災士の役割は、平常時には防災意識啓発や危険物撤去、自主防災組織の立ち上げ、防災訓練実施など、災害発生後には被災者の救護、災害弱者支援、避難施設での支援活動などがあるが、それに加えて「コミュニティーや人の付き合い、地域の結びつきをどうするか。防災士が1つの役割を果たすことも重要」とした。
 東日本大震災発生から6年半。各地で復興は進んでいるが、コミュニティーが喪失し、進むべき街の姿が見えない、といった課題を挙げ、「生業なくして人は集わず―産業を活性化しないと自主財源がない。外から資金を入れて中で回す。被災地の生業を創り出す効果的支援が必要」と述べた。
 そして「お互いの顔が見える関係を作っていくこと、普段からの人とのつながりが重要。防災士もその中で、中心的役割を果たしていくことが大事」と、使命感を持った防災士の活動に期待を込めた。
 続いて、防災士の活動事例発表が行われた。
▽防災士みやぎ・鈴木博行理事=自治体への講師派遣の事例を報告。内容は自主防災を主として地震対応、初期消火訓練、気象災害対応、救急救命、避難所の運営など多種多様にわたる。開催地の自然災害でのリスク、過去の災害履歴のほか、地名や由来なども調べていくと親近感を持たれ、スムーズな話しやすさが出る。「参加者の笑顔が非常に大事」。
▽田中勢子防災士会みやぎ元支部長=「楽しく学ぶ防災・減災教室」の模様を紹介。阪神・淡路大震災で問題となった災害対応のジレンマをカードゲーム化した「クロスロード」や、「ぼうさいカルテット」「ぼうさい駅伝」「歩一歩たいそう」などのゲームの活用を提案。ゲームを通して老若男女問わず互いの考えを知ることができ、顔の見える関係づくりに役立つ。「地域の人たちと共に、楽しく防災を行ってほしい」。
▽鍬ケ崎局・武藤元局長=防災士としての活動や、東日本大震災を経験しての思いを語った。1人ひとりに避難時の物語がある。判断は正しかったのかなど、現場で起こった事象を検証し、記録に残すことが大切。津波は「てんでんこ」、これに尽きる。各自が急いで逃げることに勝るものはない。「現地の言い伝えには根拠がある」。
 閉会にあたり、菅原敏元防災士会副理事長(宮城県北部地区会長/文字)が「できることをできるときに、できることからでいいので、みんなでしっかりと一歩一歩前に進んでいければ」とあいさつした。


 



 


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