「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6903号

【主な記事】

郵便局にキオスク端末
14局で証明書交付サービス

 日本郵便は10月2日から全国14の郵便局にキオスク端末(マルチコピー機)を設置する。マイナンバーカードや住民基本台帳カードを利用することにより、地方自治体が交付している住民票などの証明書が郵便局の端末でも取れるようになる。日本郵便の取組みでもある「地域貢献」や「地域住民の利便性向上」の一環としてサービスを開始する。

 キオスク端末では、住民票や印鑑証明、納税証明、戸籍証明などが発行の対象となる。各種証明書の発行には、まず地方公共団体情報システム機構への自治体の参加が必要で、更に参加自治体と日本郵便との間でサービスの取り決めが成立したものに限られる。
 地方公共団体情報システム機構と提携している自治体は、現在432(人口カバー7700万人)あるが、同機構では今年度末までに512に増やす予定。31年度末までには実施自治体の人口カバーで1億人以上を目指しているという。
 キオスク端末は全国のコンビニ5万3000か所に設置されており、年間約155万通の利用がある。手数料は今年度から8円値下がりし115円。
 1台で1か月に平均2.4通。多い月で計算しても約5通程度の利用となっている。
 日本郵便では「採算面では赤字だが、地域の人とのつながりは目に見えない効果として一歩を踏み出した」とサービス開始の意義を述べている。
 郵便局に設置されるキオスク端末は、証明書の発行のほか、コピーができる。利用時間は営業時間内となる。日本郵便は「地方や過疎地での需要や見込める収益などについて、試行サービスの中で検証する。端末はネットワークにつながっており、写真プリントも可能。年賀状を含め他の用途に活用できないか、郵便局にふさわしいサービスを検討したい」としている。
 日本郵便のキオスク端末の導入は、利用が進んでいないマイナンバーカードを普及させるため、その利便性を実感してもらおうと内閣府や総務省など6つの関係省庁で編成したチームがまとめた「ワンストップ・カードプロジェクト・アクションプログラム」(昨年12月)がきっかけ。日本郵便もこのプロジェクトにオブザーバーとして参加した。
 同プログラムでは「コンビニ交付サービス」(2010年から住民基本台帳カードを使って開始)は、地方や過疎地ではコンビニがない地域もあり、郵便局でもこのサービスができないかが検討され、「郵便局へのキオスク端末の設置推進」や「郵便局内に自治体の設置スペースの無償提供」が盛り込まれた。
 マイナンバーカードの普及は9月現在1400万枚となっている。
【設置郵便局】
▽石狩親船局(北海道石狩市)
▽若松旭町局(福島県会津若松市)
▽上小川局(茨城県大子町)
▽三鷹上連雀局(東京都三鷹市)
▽田富局(山梨県中央市)
▽越後上田局(新潟県南魚沼市)
▽橘局 (新潟県十日町市)
▽山王局(福井県永平寺町)
▽一宮別明局(愛知県一宮市)
▽小野局(兵庫県小野市)
▽鳥取若葉台局(鳥取市)
▽藍住局(徳島県藍住町)
▽脊振局(佐賀県神埼市)
▽知念局(沖縄県南城市)

協定書を締結[信越支社]
 10月2日からのサービス開始に先立ち、信越支社(三田彰子支社長)は、新潟県南魚沼市、十日町市と設置に関する協定を8月7日に締結している。設置は南魚沼市の越後上田郵便局と十日町市の橘郵便局。
 南魚沼市役所、十日町市役所で行われた協定書の締結式は、日本郵便から三田支社長、青木進代表主幹地区統括局長(新潟県魚沼地区連絡会統括局長)らが出席した。
 南魚沼市では林茂男市長が「郵便局には日頃から市政のあらゆる面でお世話になっている。キオスク端末が郵便局にも設置されれば、専門性の高い郵便局員がいることで、市民はより安心と信頼感をもって利用でき、新たな住民サービスとしての役割が期待できる。行政と郵便局の間で、今後の超高齢化社会を見据えた高齢者の地域見守り活動をはじめ、一層の連携強化を図っていきたい」と述べた。
 また、十日町市では関口芳史市長が「全国に郵便局が数多くある中、橘郵便局を選んでいただき、大変感謝している。市政の重要方針として『人にやさしいまちづくり』『安全・安心のまちづくり』を掲げており、市内に住民票がない人の戸籍発行(東日本初)など、地域に密着した市民サービス向上に努めてきた。山間地で暮らす方や一人暮らしのお年寄りにとって、郵便局の存在やサービスは心強くて頼りになるものであり、今回の端末導入で、ますます住民の利便性向上が期待できる」と謝意を表した。
 青木統括局長は「『地域と共に生きる郵便局』との思いを今後も堅持し、自治体と共に活力や経済発展に結びつく取り組みを推進し、発展を遂げてゆくため、地域貢献・地方創生に積極的に取り組んでゆく」と語った。
三田支社長も「郵便局は今後もユニバーサルサービスの提供を使命とし、ネットワークを最大限に活用した上で、地域になくてはならない存在となれるよう、地域社会の持続的な発展に貢献していきたい」と強調した。


>戻る

ページTOPへ