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第6902号

【主な記事】

「日本郵政 昨日、今日、明日」
長門社長が講演 ユニバは責務


 日本郵政の長門正貢社長は9月8日、内外情勢調査会全国懇談会に講師として招かれ、「日本郵政 昨日、今日、明日」と題して、日本郵政グループのこれまでの歩みや経営課題、今後のビジョンなどを語った。長門社長は「中期経営計画の純利益4500億円に向けて努力している。厳しい環境だが、選択と集中の経営を貫き、満足してもらえるパフォーマンスを上げていきたい」と抱負を述べた。

 トール社の約4000
億円の減損について、長門社長は「減損は攻めの気持ちで行った。日本郵便はトール社も含めて連結ベースでしっかりと収益を上げられるようにしたい、という決意も含めて減損処理を行った。トール社を筋肉質にしていくのが、今年度のミッション。トール社は経営陣も交代、本来の海外のロジスティック業務を推進できるよう態勢を整えている。トール社の従業員はすでに700人のリストラは終えている」と述べた。
 また、トール社を通じた海外展開については「トール社は海外50か国でビジネスを行っている。ここをプラットフォームにして海外展開を進めていきたい。イオンなどトール社を使っていただいている企業もあるが、日系企業にはまだ十分に使っていただいていない。日本とのシナジー効果はあるものの手薄になっているアメリカやヨーロッパもゆくゆくはやっていきたい」と海外展開へのビジョンを語った。郵便事業体として海外の物流事業で成功しているドイツポストを参考にしたいという。
 海外でのビジネスに必要な人材については「ビジネスニーズがあった時に業務を通じてOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で、ビシバシ鍛えていく。ゆうちょ銀行も海外投資信託会社に人材を送っており、グループ全体で人材の底上げをリアルタイムでやっていきたい」と現場主義の人材育成を強調した。
 国内業務の人材について、長門社長は「正社員と非正規社員合わせて約40万人が働いている。1年で1万人が入れ替わっている。昨年、生まれた赤ちゃんは約100万人。その1%に当たる人に入社してもらわないと維持できないことになる。これはサステナブルでないビジネスモデル」と語った。
 一方、ユニバーサルサービスについては「ユニバーサルサービスをきちんと果たすのは責務。どんなことがあっても果たす。仮に2万4000局も要らないことが明確になり、お客さまにも何も問題が起こらない場合、将来的にはあるかもしれないが、ユニバーサルサービスに支障が出ることは決してないように対応したい」と述べた。
 M&Aについては「M&Aやアライアンスで新たな売り上げが作れるのであれば、聖域なく行いたい」と述べたうえで、前提条件として「文化が合うこと、価格が合うこと」を挙げた。
 最後に「3年から5年はマイナス金利や低金利での経営を考えなければならない。低金利が続くという覚悟の下に、厳しい環境でもサステナブルに収益が出るようにしたい」と述べた。


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