「通信文化新報」特集記事詳細

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第6901号

【主な記事】

自治体ニーズを把握し連携
[東北地方会]地方創生施策発表会


 東北地方郵便局長会(佐藤賢之介会長/旭田)は9月7日、全国郵便局長会から山本利郎副会長(金沢扇町)、中谷芳人経理部長を招き、「東北地方会 地方創生施策発表会」を仙台市の仙台国際ホテルで開催した。
 布施茂夫事務局次長が司会を務め、佐藤会長は「地方創生はどの自治体も取り組んでいるが、なかなか中身が見えてこない。人口を増やすことは簡単ではなく、産業や文化、教育、歴史、全て含まれる人口の移動なので、それを取り戻すことは大変な作業」と強調した。
 そして、自治体・各地域のニーズを、自分たちだけで解決できること、会社を巻き込んで解決できること、国・政治を使って解決することに分類して取り組んでいくという、地方創生に向けた全特の立ち位置を確認した上で、「今までに地域貢献もやっていたので、地方創生がどうしても郵便局長としての視点になり過ぎていないか」と問いかけ、「本来、地方創生は局長としてというより、そこの住民としてその地域のことを考えることが一番大事」と指摘した。
 そして「もう一度地域のことを考え、役に立てることはないかを考える場にできたら」と期待を込めた。
 「東北地方会 地方創生施策発表会」は佐藤賢之介会長のあいさつに続き、全特の山本利郎副会長が「自治体との協定締結は、あくまでもきっかけづくり。それをもとに自治体と意見交換し、地域発展のために何が出来るか相談しながら共にやっていくことが本当の目的」と述べた。
 また「大事なのは包括協定。様々な項目立てができて、それぞれについて定期的に自治体と打ち合わせができる。協定を結ぶだけでなく、どうすれば機能するか知恵が必要」と強調した。
 石川県の事例を紹介し、「郵便局のパワーは大いに期待されている。前例の無いものを実現するには労力がかかるが、そのぶん喜びも達成感も、期待度も大きい。自治体のオーダーは多種多様なので、密になって話をするといろいろな提案が出てくる。それにいかに応えていくか。最初から郵便局の都合で話をするのではなく、相手の話を聞き、プラスになることを協力していくことが必要」と語った。
 各地区会の代表が活動状況を発表した。
【発表と主な内容(敬称略)】
〈福島県浜通地区会〉『住民が集う地域の復活を目指して』▽発表者=鈴木良平(いわき泉)、補助者=山崎博文(好間)
 東日本大震災と原発事故の影響で未だに14局が閉鎖中。帰村・帰町状況が低調の中、帰還率を上げるための行政の施策として住民参加型イベント開催を企画。「第1回とみおか復興ロードレース」に東北支社との共同支援施策として協力。運営団体や行政からの信頼度も増し、郵便局の存在もアピールでき、参加定員に達した。「非常に長い復興への道。ロードレース継続支援はもとより、他の支援事業にも積極的に参入していく」。
〈山形県北部地区会〉『身近な未来を連携と継続で創造~前を見据えてプラス思考~』▽発表者=佐藤和彦(寒河江北)、補助者=佐々木孝治(釜渕)
 ふるさと納税を活用し、みまもりサービス提供。買い物支援、利便性向上のため、寒河江市内全局をデマンドタクシーの乗降所に。今までの除雪ボランティアから「除雪体験ツアー」を企画。多方面の相乗効果で交流も増加。「“スピード対応”と“プラス思考”が重要。この2つをもとに、地方創生活動をどんどん広げて高めていく」。
〈秋田県南部地区会〉『農福連携のNPO法人との地場産品ふるさと小包の展開』▽発表者=高橋浩(三輪)、補助者=柴田進(元西)
 販売先開拓に苦労している障がい者就労支援施設の「小玉すいか」に着目。ふるさと小包で販売し大好評。都市部からの地場産品ニーズも発見。「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の“3方よし”の事業展開で地域福祉・地方創生の大きな力に。「郵便局長として地域を照らす一灯となり、地域発展の力になれるよう取り組んでいく」。
〈宮城県南部地区会〉『福幸(復興)の証~閖上郵便局再開に向けて~』▽発表者=酒井由史(名取増田)、補助者=國井智大(イオンモール名取内)
 閖上地区は地域コミュニティー再生が大きな課題。生活インフラ、地域経済再生、活性化のためにも閖上局再開は必須。名取市図書館への図書寄贈、千年希望の丘植樹祭への参加、閖上朝市や清掃活動など取り組んでいる。単なる再開ではなく、町をつくり、経済を動かす。まさに地方創生そのもの。「時代のニーズにマッチするための活動を通じ、必要とされる郵便局となるよう精進していく」。
〈岩手県東部地区会〉『まち・もの・ひと 笑顔溢れる街づくりへ郵便局の挑戦!!~大規模自然災害からの復興~』▽発表者=澤口正幸(平井賀)、補助者=及川隆栄(宮古日の出)
 特産品等を生かした商品開発に関わり、販路拡大・物流で生産者の所得安定・雇用創出など地域活性化を手伝っていく。空きスペースを活用し、地元の人が作った野菜などを販売する郵便局産直コーナーの設置。空き家紹介等様々な情報を発信し、地方に住みたい・働きたい人へ広報活動を行い、自治体と協力して地元以外のIターンにより人口を増やす施策を考えていく。「復興半ばだが、地域に寄り添い、地域のために何ができるのか仲間と模索し、地域も郵便局も元気になれるよう頑張っていく」。
〈青森県西部地区会〉『地域特産品残渣利用による商品開発』▽発表者=中村純一(内潟)、補助者=十三裕和(北金ヶ沢)
 りんごまるかじり条例の町・板柳町のロゴとキャッチフレーズを封筒にあしらうなど町のPRに貢献。リンゴジュースの絞りカスを利用して「りんご紙はがき」を製作。町長に贈呈、町の関連企業に提供、ギフトセットへ同封された。小学校等での絵手紙教室でも使用し、手紙文化振興に貢献。地元企業や行政、第三セクターとの連携ができれば大きな仕事が可能。「地方創生活動成功のカギは地域・地公体・企業との連携。継続して真に地域が望んでいるものを探し、追い求めていく」。
 最後に、佐藤重信副会長(円田)が「郵便局でお客さまが望むこと、自治体がやってほしいことを、いかに1つでも取り組んでいくかが大切。皆さんと知恵を出し合いながら会社に提言し、しっかり取り組めるようにしていく」と結んだ。
 続いて行われた情報交換会の中で、内ケ崎慎理事(富谷日吉台)が審査結果を発表。青森県西部地区会が東北代表として全国大会へ出場することとなった。


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