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第6900号

【主な記事】

手数料の消費税減免を
[総務省概算要求]固定資産税の特例も

 総務省は8月31日、2018年の重点施策と予算の概算要求を発表した。前年より1063億円増の総額16兆2836億円の予算を要求。「落ち着いて、やさしく、持続可能な社会の実現」を目指す。2018年度は「人口が減少する中、“資源を有する者・地域〟と“有しない者・地域〟の連携を促し、国民生活の基盤となる行政を着実に推進し経済再生を実現する」ことを柱にしている。郵政関係では「国民が成果を実感することのできる郵政民営化の推進」の実現のため、ユニバーサルサービスの確保、利用者目線に立った新たな事業展開、郵便局の利便性向上の促進を実施する。

 ユニバーサルサービスの確保としては、今年度も「郵政事業に係わる消費税の特例措置の創設」を要望した。
 その内容は、窓口業務手数料に係る消費税のうち、過疎地の郵便局の人件費相当分の消費税を減免するというもの。2016年度の日本郵政の決算を基に算出した。過疎地(日本郵便株式会社法で規定されている過疎地)の郵便局の人件費相当分は2375億円(ゆうちょ銀行1445億円、かんぽ生命保険930億円)。それに対する消費税から仕入税額控除額を引いた額の161億円(ゆうちょ銀行88億円、かんぽ生命保険73億円)が対象となる。
 日本郵政グループは法律(郵政民営化法)により分社化(2007年10月)されたことや、日本郵便は金融ユニバーサルサービスを義務付けられていること、窓口業務を一体で行う金融機関では発生しない業務であり、他の金融機関と比べて追加的な負担であることが理由に挙げられる。
 その追加負担により、競争上不利な状況が継続すれば、金融ユニバーサルサービスの安定的な提供に支障をきたすため、昨年度に続き過疎地の郵便局の人件費相当分のみを要望した。
 2016年までは手数料に係る消費税全額を要望していたが、昨年度からは「経営的に厳しい所だけでも認めてもらいたい」と過疎地の郵便局の人件費相当分に絞って要望した。
 特例措置の要望は民営化前の2004年から続けられているが、財務省は「消費税は特定産業や特定事業者の特例にはなじまない」として、一度も認められていない。要求額は昨年度は170億円、一昨年度は527億円。
 このほかの税制の要求事項としては、日本郵便が所有する日本郵政公社から引き継いだ郵便局舎や本社・支社の建物の固定資産税や都市計画税の特例措置(減免)がある。2016年度と2017年度の2年間の特例措置を更に2年間延長するというもので、約28億円(課税標準を5分の4とする)を要求。
 その理由としては、金融機関の店舗数が減少傾向にある中、ユニバーサルサービスの提供の責務を担っており、日本郵便の役割は重要。一方で郵便物数の減少など経営環境が厳しくなっていることもあり、経営の安定が実現しなければ、将来的に郵便局ネットワークの水準の維持に影響を及ぼし、ユニバーサルサービスが安定的に地域に提供できなくなる恐れがあることなどを挙げる。
 このほか「日本型郵便インフラシステムの海外展開の推進」がある。郵便関連のインフラ展開は、ICT国際競争力強化パッケージ支援事業に含まれ、全部で16億円を要求した。郵便の海外展開関連の昨年実績は1.9億円。ミャンマーやベトナム、ロシアにすでに日本郵便が業務ノウハウを提供しているが、新たな地域としてインドやインドネシアも引き続き盛り込んだ。
 万国郵便連合(UPU)関係では、3.4億円を要求。UPU加盟国分担金やアジア太平洋郵便連合分担金、防災のためのプロジェクトの実施に使われる。
 同プロジェクトは日本が提案し現在5年目。来年度は最貧国の郵便事業体に防災の専門家を派遣し、運営の改善などを指導する。来年は9月に万国郵便臨時大会議がエチオピアで開催される。


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