「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6892・6893合併号

【主な記事】

郵便局の将来展望を探る
過疎、少子高齢化に対応
中国の4連絡会 地方創生合同会議


 鳥取県因幡地区連絡会(谷口雄史統括局長/鳥取大正)、広島県芸南地区連絡会(松井知己統括局長/海田中店)、島根県出雲東部地区連絡会(江角直記統括局長/松江殿町)、島根県石見西地区連絡会(齋藤哲史統括局長/畑迫)は、6月27日に「第1回4地区連絡会地方創生合同会議」を広島県三原市の白竜湖リゾートで開催した。
 各統括局長のほか、中国支社経営管理本部の高味修専門役、副統括局長、部会長、副部会長、地区連絡会スタッフなど32人が出席した。多くの地域で過疎化、少子高齢化が進行、人口減少に歯止めがかからない社会情勢の中で、とりわけ2人局の将来について話し合い、今後の参考に資するという趣旨で企画されたもの。金子正巳芸南地区連絡会スタッフが司会を務め、各統括局長から連絡会の概要なども含めて報告された。
 今回の幹事を担当した松井統括局長は、参加者に謝意を表すとともに、「会社とか局長会とか主体性はいろいろ考えられるが、地域が何を求めているのか、郵便局は何ができるのか、とにかく2人局の今後について討議をする場を設けた」と語った。
 そして、芸南地区連絡会の概要を紹介した後、「今まで誰もが経験をしたことのなかった、人口がかなりのペースで減少していくという社会状況の中、国の施策として地方創生が掲げられており、連絡会も取り組み始めている。いろいろな情報なども参考にして、何ができるか議論をしていきたい」と要望した。
 谷口統括局長は「今日の会議の目的は地方創生という言葉がついているが、過疎地の2人局がこれからの郵便局の将来ビジョンをつくり上げるために、どのような価値を高めていくのか、その目的としてベクトル、意識合わせをする会議と認識している」と語った。
 また「この話は会社の話であるとともに、局長会として進めていかなければならない話でもある。今日は、多種多様の局長が集まっており、いろいろな話が出ることを期待している」と呼びかけた。
 齋藤会長は「連絡会は島根県の西部に位置し、過疎化の典型である。全回の国勢調査結果によると、このまま進めば、この先20年で人口は現在の3分の2になってしまう」と危機感を表した。
 そして「ネットワークを持っているのは郵便局だけであり、自治体との連携強化が重要である。過疎地の2人局をどうやって守っていくかが喫緊の課題で、真剣に将来展望を確立することが大事である」と強調した。
 江角会長は「齋藤会長の話で、島根県のイメージは大体伝わったと思うが、90%の都市が2050年に消滅するという予想も出されている。連絡会には隠岐の島などの離島もあるが、人口減などでは厳しい話が多い。この8月からは『みまもりサービスの申し込み』も始まるが、それ以前の厳しい現実もある。現在住んでいる人たちが元気で楽しく暮らしていくことがまずは大事である」と語った。
 高味専門役は「地方創生の問題は数年前から国や地方公共団体でもいろいろ論じられている。郵便局でもエリマネと単マネが一緒になり、地域を巻き込んで取り組んでいかなければならない問題である」と思いを語った。
 続いて出席者が自己紹介を行い、各連絡会の代表が現状と課題を説明した。発表の要旨は次のとおり。
■因幡連絡会
①「すごい! 鳥取市応援プロジェクト協定」の締結=▽少子高齢化が進む中、一人暮らしや要介護者が増加している▽鳥取市と「さまざまな形で官民共同・連携しながら、観光や移住定住などのシティーセールスプロモーション活動を展開する協定」は全国で初めてである。
②「池田郵便局地域活性化施策」の実施=▽地域運行バスを運行しており、郵便局が待合所となっている。待っている間、お茶が飲めるようになっている▽地域の物産展を開催し、地場産業の活性化などを支援している。
■石見西連絡会
①郵便局の存在意義、存在価値を高める=▽国や地方公共団体との連携を強め、郵便局が今まで以上に公的な役割を担っていく。また、地場産業の農産物を内容とする「ふるさと小包」を復活する。
②郵便局ネットワークの活用=▽行政と連携し、空き家情報や働き口情報を提供する▽コンサートや観劇チケット販売機の設置
③都市部の郵便局との交流=▽意見交換の場を持ち、お互いの役割を果たしていく▽浜田の魚や干物、旭梨を都市部に持ち込んで、試食販売やカタログ販売をし、販路拡大を目指す。
■出雲東部連絡会
①過疎地における郵便局の維持・活用=▽郵便局を維持するには、郵便局の収益を上げていくことが不可欠である。
②ネットワークの活用方法=▽地方公共団体・NPOとの連携を図ったり、地域の行政サービスを郵便局が受け持つ。
③都市部との交流=▽地域のお祭りやイベントに郵便局、部会として参加する。
④えーひだカンパニーの立ち上げ=▽過疎化や高齢化が進む安来市比田地区では、地域の機能を維持し、住み良い地域であり続けるため、「えーひだカンパニー」を立ち上げた▽小さな拠点づくり▽安心な暮らし▽定住対策
■芸南連絡会
①事業の集約化=▽過疎化や少子高齢化を迎えているエリアとしては、郵便、貯金、保険以外にも、お客さまや地域のニーズに対応し、総合的、効率的にお客さまサービスを提供できるように稼働することが大事である。また、働く場所や雇用を増やし、生き甲斐を感じられるようにする。
②移動郵便車によるサービスの充実を図り、地域住民、特に高齢者に喜ばれるように努める。
③ingressの活用=▽とびしま海道、夏のingressイベントを開催する▽ingressを積極的に活用する。
 分科会に移り、A、B、Cの3グループで「過疎地における郵便局の有用性を高めるための都市部との連携」などについて、現状・課題等を共有し、改善策や事業展開について協議した。
 主な討議結果は次のとおり。
■Aグループ
▽移動販売、食糧販売(賞味期限の長いもの)を行う▽若者の地域活性化のためのグループを作る▽お客さルームでの作品展の開催▽良いところ、うまいもの再発見に努める▽産業振興に力を入れる▽若者定住化対策を行う▽空き家情報を郵便局に掲示する。
■Bグループ
▽空き家情報を共有、活用する▽企業誘致を積極的に行う▽郵便局の窓口営業時間の見直し▽まちづくり協議会を有効活用する▽行政と幅広い協定を結び、協力し合う。
■Cグループ
▽ふるさと納税の活用▽出身者の多い地域の郵便局にパンフレットを置く▽新任局長研修には、夫婦一緒に参加する▽郵便局の有用性を高める▽今まで以上に行政と連携を図る▽婚活パーティーの活用▽地元の物を販売する。
 研修終了後、地域の特産品などを紹介しながら、情報交換を行った。今回の会議内容やグループ討議結果を参考にするとともに、出席者を絞り込み、第2回の会議を7月26日に開催することになった。


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