「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6887号

【主な記事】

全簡協・全簡連総会
地域支える気概と誇りユニバーサルサービスの最後の砦

 全国簡易郵便局協会と全国簡易郵便局連合会(小山洋会長/鹿児島・東原)の平成29年度総会が、来賓に日本郵便の髙橋亨会長、徳茂雅之参院議員(全簡連顧問)を迎え、全国から代表160人が出席し、6月3日に東京・芝公園のメルパルク東京で開催された。また、懇親会には日本郵政の長門正貢社長、日本郵便の髙橋会長、米澤友宏上級副社長ら郵政グループの多くの幹部、全特の青木進会長らが参加した。総会では「簡易郵便局は国民生活に深く溶け込み、公益サービスの最後の砦、地域住民の日常生活に欠かすことのできない存在になっているとの誇りと気概を持って業務に取り組む」ことを確認した。

 総会は阿川昭一副会長(出雲白枝)の司会で、小野寺伸王議長(北海道・芦別渓水)、成田隆二郎副議長(八竜大曲)を選出し議事を進行した。
 全簡協総会では、小山会長が「東日本大震災と熊本地震については今、復興に向けた懸命な努力がなされている。引き続きの支援をお願いしたい」と述べた。また「同協会が平成25年、一般社団法人としてスタートしてから、日本郵政グループ3社の株式上場、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の限度額引上げ、6月からの郵便葉書の値上げ、みまもりサービスの全国展開、豪・トール社の減損処理等、簡易局を取り巻く経営環境は大きく変わっている」とし、特に重要課題として犯罪ゼロの継続と業務能力向上の2点を挙げた。
 犯罪ゼロの継続では「27年度以降、組織を挙げた防犯取組みと会員一人ひとりの懸命な努力の結果、発生していない。29年度も小グループ活動を中心に研修や防犯メール便などの各種防犯取組みを充実し、犯罪ゼロの継続を目指し、気を緩めることなく信念と気概を持って今まで以上の取組みを」と要請した。
 また、業務能力の向上では「離島や過疎地を中心にユニバーサルサービスを提供する簡易郵便局は、国民生活に深く溶け込み、公益サービスの最後の砦となり、地域住民の日常生活に欠かすことのできない存在となっている。引き続き、業務能力の向上を図り、正確なサービスの提供に努めていこう」と強調した。  「簡易郵便局の未来は地域のお客さまからよくやっている、なくては困るとの高い評価と支持を得ることが大事で、働く一人ひとりが地域を支えているとの誇りと気概を持って、郵便局づくりに精進してもらいたい」と呼びかけた。

髙橋日本郵便会長
郵便局ネットと人材が最大の宝 

 日本郵便の髙橋会長は「決算では日本郵政は民営化以来の赤字となった。これは豪・トール社を買収したことによるもので、買収の時ののれん代を20年間で償却するとしていたが、ここで思い切って償却して減損処理を行ったことによる。日本郵便の決算は全体で534億円の営業利益となっている。対前年度比では郵便・物流部門、金融窓口部門で増収増益となった」と述べた。
 「日本郵便本来の業績は前進している。ただ、低金利で資金運用面では大変厳しい経営環境となっている。ゆうちょ銀行も全国から預かったお金をトータルで運用し利益を出している。現在、国債は半分以下となり、半分以上は運用の情報を駆使しながら高い運用利回りを目指して一生懸命に運用している」と語った。
 環境変化については、「電気通信的な手段、ITが発展している。スマホによって取引ができることから、いろいろなサービスが出てくるだろう。このように世の中が急速に発展するが、地域によっては、年齢の差や地域の差がある。郵便局のネットワークは全国の津々浦々にあり、地域の人に合わせて仕事を行っている。郵政事業は公共性、企業性のバランスをとった仕事であり、民営化して10年、全国のユニバーサルサービスを守りながら、上場企業として株式投資家の皆さんに期待を持ってもらえるだけの業績を上げている」とした。
 「郵政の最大の財産はネットワークと人材にある。これから技術進歩によって、昔のやり方では通用しないこともあろうが、引き続き、これまで培ってきた仕事の仕方にますます磨きをかけてほしい」。また、「日本郵便の収入はゆうちょ銀行、かんぽ生命からの手数料である。この手数料をどう見直していくのかがこれからの課題。皆さんから出された要望については、精いっぱい検討していく。地域の仲間とのコミュニケーションによって、知恵を出しながらネットワークと人材の二つの宝によって乗り切っていこう」と激励した。

 全簡協総会では28年度事業報告、同収支決算報告、定款及び規則類整備について承認。また①簡易郵便局の円滑な設置への支援①▽簡易郵便局ネットワークの維持発展▽説明及びPRツールの作成②簡易郵便局における特殊詐欺・認知症事故防止に関する実態調査③簡易郵便局受託業務従事者の指導・育成▽お客さま第一の窓口づくり▽お互いの顔が見える防犯取組み③保証事業の普及・充実を骨子とする29年度事業計画などが承認された。
 全簡連総会に入り、小山会長は「柘植、徳茂両参院議員のおかげでゆうちょ銀行、かんぽ生命の限度額の引上げが実現。そのほか、郵便局ネットワークの活用に尽力してもらっている」と強調した。
 犯罪ゼロでは「全簡連として仲間を孤立させない、小グループによるお互いの顔が見える防犯取組みを中心に施策の充実強化を図り、犯罪ゼロの継続を目指す」。
 処遇の改善では「日本郵便に要請書を提出して諸課題の解決に当たっており、28年度は集中満期への取組みなど前進回答があった」。
 ATM設置については「進展していない、整備された営業体制の見直しも期待通り進んでいない。これからも粘り強い折衝を重ね、実現を図っていきたい」と述べ、「組織の強化は全簡連の活動の根底をなし、生成発展を図る要諦であり、情報の共有化、仲間を孤立させないよう、共助の精神で活動を進めてもらいたい」と呼びかけた。

徳茂参院議員
ネットワークの最前線を支える

 徳茂雅之参院議員は「国のため、地域のため、郵政グループのため、精一杯頑張っていきたい。簡易郵便局の皆さんは毎日、地域のために働いており、こうした地道な取組みによって、地域の方も安心して毎日、生活ができるのだろうと思う。これからもユニバーサルサービスの提供は高齢化社会、人口減少社会にとって必要不可欠な取組みである。参院議員になる前は近畿支社長をしていたが、その時に全国のつながり、ネットワークが大事だと思った。それぞれの人が地域のために頑張る、そういう方が全国にいるのが郵政グループの源であり、役割だと思う」と述べた。
 「現在、財政金融委員会に属している。郵政グループは郵便が中心であるが、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の金融サービスも扱っている。加入限度額の問題、新規業務や新たなサービスの問題、これからユニバーサルサービスをどのように維持していくかなど課題は多い。政府が郵政グループにユニバーサルサービスの責務を課しているのだから、国がいろいろな取組みをすることが必要となる。ユニバーサルサービスの全国ネットワークの最前線をしっかりと支えている誇りを持って仕事をしてもらいたい」と励ました。
 全簡連総会の議事では、28年度事業報告、同収支決算報告、会則及び規則類整備や①簡易郵便局制度の維持発展②処遇改善・業務改善に関する要望の実現③防犯の取組み④業務処理能力の向上と営業環境の改善⑤情報の共有化⑥会員の共済・福祉の増進を骨子とする29年度事業計画などを承認した。
 今回は個人表彰のみが行われ、業務成績が優秀で貢献のあった52氏に表彰状が贈られた。代表として、愛知県の深見友香豊田浄水局長が受領した。
 懇親会は長谷敬子女性部長(姶良野)の司会で開かれ、日本郵政から長門正貢社長、日本郵便から髙橋亨会長、米澤友宏上級副社長、福田聖輝副社長、大澤誠専務執行役員ら幹部、全特から青木進会長、渡邊伸司専務理事、徳茂参院議員ら多数の来賓が招かれた。
 小山会長が「縁の下の力持ちとして、人の世話をすることに常に心掛けてほしい。商品開発が第1で、販売するのが第2であり、第3はそれを提供する仕組み。第2の商品を提供する人、この人となりを作っていくのが大切になる。簡易郵便局は縁の下の力持ちであり、工夫を凝らして頑張っていこう」とあいさつした。

長門日本郵政社長
郵便局ネットは地方創生に貢献

 長門日本郵政社長は「日本郵便の決算では全体で増収増益だった。経営陣の判断で、トール社の4003億円ののれん代などの減損損失の計上を行い、結果的に日本郵政全体では赤字決算となった。皆さんに大変、迷惑をかけたと思っている。トール社を買収した時ののれん代を20年かけて分割払いでやろうとしたが、一気に前倒しで計上を行った。キャッシュフロー上では問題はなく、実際の日本郵便の活動には影響はない」と述べた。
 地方創生について「これを実行する最大の組織は日本郵政グループで、簡易郵便局を含めた郵便局ネットワークだと思っている。今後はこれをもっと具体的に展開したいと思っており、その一つがゆうちょ銀行の口座貸越サービス」と語った。
 また「23年振りに6月1日から52円の葉書を10円値上げさせてもらった」とし、「郵政グループ全体では約40万人が働いている。こうした一生懸命働いている方々が正当な対価をもらう働き方の見直しも必要ではないのか。また、新規を採用して、引き続きユニバーサルサービスを実行できる体制を取っていくことが重要であり、これからも元気で頑張ろう」と呼びかけた。

青木全特会長
スクラム組み課題の解決へ

 青木全特会長は「徳茂先生が素晴らしい成績で当選を果たしたのは、全簡連の皆さんからの支援があったからで厚くお礼を申し上げる」と感謝の言葉。また「現在、限度額の再引上げ、ゆうちょ銀行の口座貸越サービス、終身保険の見直し、ユニバーサルコストの問題など政治課題は多く、全簡連の皆さんとスクラムを組んで、しっかりと取り組んでいきたい」と呼びかけて乾杯を行った。
 交流の輪が広がる中、小山会長の下、簡易局がユニバーサルサービスを提供する最後の砦との自負を持って、国民生活に深く溶け込み、地域住民の日常生活に欠かすことのできない存在を目指し、防犯と業務能力向上を図り、未来志向の簡易局づくりにまい進することを誓った。



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