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第6884号

【主な記事】

国内の営業は堅調
[日本郵政グループ]連結289億円赤字


 日本郵政グループは5月15日、2017(平成29)年3月期決算を発表した。連結経常収益は13兆3265億円(前期比6.5%減)を計上。豪トール社の事業に係るのれん及び商標権と有形固定資産の一部を合わせた4003億円の減損損失を計上したことで、当期純損益は289億円の赤字となった。
 連結の最終赤字は民営・分社化以降初めてになるが、日本郵政の長門正貢社長は記者会見で、「負の遺産を一掃して新たなスタートラインに立つ心境」と意欲を示した。
 トール社は16年度、コントラクト事業(物流事業者と荷主側との契約にて行うロジスティクスサービス)は黒字だったが、豪州国内物流事業の不振と国際フォワーディング事業(通関や他法令への対応などの専門的な手続きや各種手配などを含む総合国際物流事業)が赤字に転落した。
 しかし、国際物流事業を除いた日本郵便の郵便・物流事業、金融窓口事業はともに営業損益ベースで増収増益を確保。中小口営業活動の強化により、ゆうパックの伸び率は前期比9.1%増。金融窓口の営業収益として計上される受託手数料のうち、かんぽ生命の新契約が前期比3.8%増と好調に推移した。
 金融窓口事業のうち、その他収益に位置する不動産事業は、16年度の分譲販売収益計上の反動で260億円(同14.2%減)と減収になったが、この影響以外の部分で不動産は引き続き堅調。一方、経費のうち、人件費は郵便・物流事業で31億円、金融窓口事業で28億円縮小した。
 低金利環境下にあっても運用多様化により、昨年5月に公表した通期業績予想に対し、ゆうちょ銀行は104.0%、かんぽ生命は103.0%達成した。17年度業績見通しを日本郵便130億円、ゆうちょ銀行3500億円、かんぽ生命860億円、日本郵政グループが連結4000億円(非支配株主の損益を含むと4500億円)と見込んでいる。1株当たりの配当は日本郵政が通期50円、ゆうちょ銀行50円、かんぽ生命64円を予想している。
 長門社長は「今年度は日本郵政グループ中期経営計画の最終年度。計画では最終年度収益の目標を4500億円と見込む。それをやりきることを18年3月期の収益予想として掲げた」と説明。また「働き方改革は時代のテーマ。水と空気、グッドクオリティサービスが無料だったという常識がもはや通用しない時代になった。労働対価を的確にとる文化が伝播しないといけない。(三事業の)ユニバーサルサービス義務を果たすのが我々の責務だが、やるべき業務を限られた労働賃金の中で工夫してやっていきたい」と強調した。


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