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第6880号

【主な記事】

みまもりサービスを開始
日本郵便 茨城県大子町から受託

 日本郵便は4月17日、茨城県大子町(綿引久男町長)から「みまもり訪問サービス」と「みまもりでんわ」の事業を受託したと発表した。試行サービス中の「郵便局のみまもりサービス」をカスタマイズした形での提供で、郵便局の社員がタブレットを使って、高齢者の状況を子世代と大子町にメールで報告する。料金は自治体が負担し、利用者は無料となる。自治体のみまもり事業を全面的に受託してのサービスの展開は全国初となる。
 日本郵便はICTを活用したみまもりサービスの全国展開を計画しており、「タブレットを活用してのサービスは初めてなので、郵便局内のオペレーションも含めて、新しいサービス展開のヒントにしたい」と大子町の事例を参考に次のステップにつなげる考えだ。自治体との有料サービスの契約は東京都檜原村に次いで2例目。
 大子町では2015年11月から「あんしん訪問事業」という名称で、町から委嘱された4人が一人暮らしの高齢者の安否確認を行っていた。これを「みまもり訪問サービス」として日本郵便に委託、4月3日から開始した。民生委員から推薦を受けた75歳以上の一人暮らしの高齢者116人が利用している。
 郵便局の社員が高齢者宅を訪問し、食事や睡眠、持病の状況や困ったことなどをフォーマット化された10の設問で対面して聞き取り、タブレット端末に入力する形に変えた。高齢者の話を通して気が付いたことやメッセージなどもその場で書き加え、郵便局のサーバーに送り、管理者が確認後、子世代または親戚、大子町にメール送付する。訪問は月1回、希望の時間に行われ、30分程度を予定している
 さらに、大子町ではこれまで社会福祉協議会が「あんしんコール事業」として、一人暮らしの高齢者宅に週に1回、電話をかけて安否確認するサービスを行い、約70人が利用してきた。日本郵便が受託することで、この電話を自動音声化し、毎日希望の時間にかけるサービスに変えた。利用者は「①元気です②いつも通りです③元気がありません」の3つの答えの中から該当するボタンで選ぶと、結果は町と子世代にメールで送られる。75歳以上の一人暮らしの高齢者が対象で、5月からサービス開始の予定。
 「郵便局のみまもりサービス」は、2013年10月から全国13都道府県83市町村の738局で試行サービスを実施、現在は190人が利用している。月1回30分で月額1980円、同60分コースは月額2480円。東京都檜原村では、日本郵便と提携し、郵便局のみまもりサービスを村が料金を日本郵便に支払う形で、高齢者30人に提供している。
 75歳未満で郵便局のみまもりサービスの利用を希望する場合、大子町は試行サービスを実施している83市町村には入っていないため、現状では提供できない。日本郵便は「希望者がいれば同町と話し合っていきたい」としている。
 この日の報道発表は大子町役場で行われ、大子町からは綿引久男町長、和田宗介副町長、深谷雄一総務課長、神長敏福祉課長、日本郵便からは谷垣邦夫副社長、渡辺浩関東支社長、常木治彦関東支社経営管理部長、町内11の郵便局を代表して茨城県北部地区連絡会の石井義孝統括局長(上小川)、事業の開始に中心的な役割を果たした旅澤雅博局長(上野宮)、サービスを担当する関東支社所属で大子郵便局に駐在する伊藤都志子さんが出席した。大子町のゆるキャラ・たき丸くんやぽすくまも登場し、報道発表の場を盛り上げた。



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