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第6876号

【主な記事】

マイナポータル今秋に本格運用
“過疎の支援”郵便局に期待

 高市早苗総務大臣は3月17日の記者会見で、日本郵便のデジタルメッセージサービス(電子私書箱=マイポスト)と連動するマイナポータル(マイナンバー制度で個人ごとに設けるポータルサイト。行政保有の特定個人情報ややり取り記録、自分への通知などをインターネットで閲覧できる)の本格稼働をパソコンとスマートフォンともに今秋同時期にする方針を明らかにした。一方、過疎地の住民を守るため、日本郵便に「暮らしサポート実証事業」の担い手としての役割に期待を寄せた。

 同日、総務省は2018(平成30)年までのマイナンバーカード検討状況や実現化を表わした「マイナンバーカード利活用推進ロードマップ」を公表。①身分証明書など②行政サービス③民間サービス―のスケジュールを3分野別に示したもので、金融やチケットなど民間企業が提供するサービスもマイナンバーカードで利用できる取組みを推進する方針が明記されている。
 ロードマップは今秋に本格運用を開始するマイナポータルに関し、マイナンバーカードを使って情報提供記録や自己情報の確認、ワンストップでの子育て関連手続きの申請や届け出のほか、行政や民間企業からのお知らせの受取など官民のオンラインサービスをワンストップでの利用を可能とする。アクセス手段を多様化するため、スマホやテレビからもアクセスできるように検討を進めることも盛り込んでいる。
 昨年8月3日の内閣改造以降、マイナンバー制度を一元化する内閣府特命担当大臣を兼務する高市総務大臣は「民間も含めた取組みを一層推進するため、ロードマップと併せて各市町村の交付枚数も発表していく。適切な進捗管理を行い、官民問わずマイナンバーカードが利用できる場面を関係者一体で作り出していきたい」と意欲を示した。
 記者団からの「マイナポータルの本格運用は当初7月が予定されていたが、変更した理由とは」「本格運用を秋にするのは混乱を避ける目的か」などの質問に対し、「マイナンバーカードの利活用はマイナポータルに一番大きな期待が集まっている。アカウント開設に時間がかかるとの指摘があったため、パソコン向けのログインアプリによって3分以内で作業が完了するなど改善を図った。ただし、子育て世代の方々は自宅でパソコンを起動して設定するより、スマホ専用画面の方が利便性は高く、スマホ利用を可能にすることが普及の鍵を握っていると思えた。スマホは当初、2018(平成30)年3月末ごろから使える予定にしていたが、今秋に前倒しするように指示を行った」と説明。
 「(パソコンでの利用を7月にしてしまうと)秋からスマホでマイナポータルを利用できることを知らずに、夏にパソコン用のカードリーダーを購入するなど余分な支出を増やしかねないことからパソコンとスマホの本格運用は同時期にした方がよいと判断した。秋に前倒しすることで、スマホを使って来春の保育所入所申請や児童手当の現況届など子育て関連手続きでマイナポータルの利便性を実感していただける」と指摘した。
 さらに「情報連携(社会保障給付などの申請を受けた行政機関が関係各機関に照会を行うことで申請者が窓口で提出する添付書類が省略、簡素化)とマイナポータルは密接に関係しているため、マイナポータルと同様、秋ごろからの本格運用にした。ただし、秋は利用者側からの本格運用で、行政事務は7月から試行を開始する。申請者は従来と同様の書類提出が必要だが、自治体の窓口職員には情報提供ネットワークシステムによる処理を平行して実施していただく」と語った。
 このほか記者団の「マイナンバーカードの人口に対する交付枚数の割合は全国で8.4%だが、普及率を今後どのように高めていくか」との問いかけには「市町村でトップの都城市ではタブレットを利用して無料のカードの顔写真を撮影するサービスやオンラインでの申請を補助する形で積極的に取り組んでいる。頑張る自治体のノウハウの横展開を図ることも重要だ。市区町村と一体となってカード申請促進に取り組みたい」と強調した。
 「普及率が低い要因をどう見るか」には、「マイナンバーカードが何に使えるか、周知が十分ではない。国民に責任持てるロードマップを作成したので、何月からこうしたことができると広報を展開したい」との方針を示した。
 通信文化新報は「過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)改正案が議論されているが、過疎地の住民を守るために総務省はどのような施策が必要と考えているか。郵便局に期待する役割とは」と質問。
 高市大臣は「人口減少や高齢化が著しく進む過疎地域では集落機能の維持が困難で、住民の安全・安心に関わる深刻な問題と思っている。総務省は複数の集落を連携する集落ネットワーク圏の形成を進め、予算案として『地域の暮らしサポート実証事業』を計上させていただいた。成立すれば、買い物支援などの暮らしを支える実証事業を展開する予定。日本郵便は郵便局を活用して地域住民の利便性増進に資する業務を行ってきた。特に配達の際に高齢者の方々へ励ましの声掛けする『ひまわりサービス』を実施されてきたが、地域貢献の成果と実績を活かし、日本郵便に『暮らしサポート実証事業』の担い手となっていただきたい」と期待を寄せた。


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