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第6873号

【主な記事】

日本郵便の売上げ伸ばす
日本郵政長門社長 トール社の経営を強化

 日本郵政の長門正貢社長は2月22日の定例会見で、日本郵政グループの第3四半期決算やゆうちょ銀行の業績、かんぽ生命保険の運用体制や同社と第一生命保険のメガソーラーへの共同出資などについて説明した。

【日本郵政・日本郵便第3四半期決算】
 日本郵政グループの2017年3月期第3四半期の決算で、通期見通しに対する当期純利益の進捗率が92.7%と高い水準だったことについて、長門社長は「今回の決算は日本郵便の年賀はがき販売が大きく貢献した。2、3月が決算数字に反映されると均(なら)されてくる」とした。
 日本郵便の経営課題として「人手不足、コストが上がっている。非正規も含めて従業員は40万人。人件費にはプレッシャーが来ると感じている。筋肉質な運営になるよう、コスト削減、物販や不動産も含めて売上げを伸ばすなど、あらゆる努力をしていきたい」と強調した。
 また「6月からははがきを値上げし約300億円売上げに貢献するが、これでは賄いきれないかもしれない。トール社の経営強化も含めて、できることは何でもやろうと思っている」と述べた。
【トール社の経営改革】
 売上げが落ち込み、苦戦しているトール社について、長門社長は「トール社はM&Aをしながら大きくなってきた会社なので、無駄なラインや下請けも重なっているところもある。組織改革をしなければならない。1月に会長・CEO、社長・COOも代えて、これまでとは違った目でしっかりと見てもらい、策を作っている最中。彼らが1週間前に来て、報告してもらっている」と述べた。
 そして「親会社としてのガバナンスについての懸念は全くない。諌山親執行役副社長には現地に行ってもらっている。ボードメンバー(取締役会)には、髙橋亨会長、横山邦男社長、米澤友宏副社長も入り、きっちり情報も取っている。買収時に期待したような売上げの伸びはないが、何らかの対策は必ず打つ」とガバナンスや組織のリストラクチャリングへの考えを示した。
【ゆうちょ銀行の資産運用】
 ゆうちょ銀行の売上げの94%は運用収益。国債の割合も35%となり、昨年4月からは社内体制も整え、オルタナティブ(代替)投資も行っている。トランプ・ラリー(反騰)の影響で金利が上がっていることについて、長門社長は「銀行によってはダメージを受けているところもあるが、ゆうちょ銀行は大胆なオペレーションが成功し、大きな影響を受けずにきている」と述べた。
【かんぽ生命保険の資産運用】
 かんぽ生命保険と第一生命保険がメガソーラー事業に出資することに関連して、長門社長はかんぽ生命保険の資産運用について説明した。
 「国債・地方債の割合は65%、かつては許されていた地方公共団体への融資が8.5兆円残っており、サテライト運用への必要性は緩やか。資金運用体制は進めており、昨年10月に運用開発部を立ち上げ、海外クレジットやオルタナティブ投資の専門部隊の受け皿を作った」と語った。
 「121人いる専用の人員を今年度末には140人にして、来年度もこのペースで人材を増やしていく。バイアンドホールド(長期保有で長期的なリターンを狙う投資戦略)で運用していくが、すべての人材を抱えるのではなく、第一生命保険などの共同事業のように外部の力も借りてやっていく」と資産運用について述べた。


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