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第6872号

【主な記事】

「新型宅配ボックス」を開発
不在時にも対応、再配達を軽減

 日本郵便と住宅設備メーカー「ナスタ」、住宅メーカー「大和ハウス工業」の3社は、大型メール便と書留の不在受け取りができるポストと受取・集配ができる宅配ボックスの3つの機能がセットになった「戸建て向け新型宅配ボックス」を開発した。再配達の軽減対策の一環で、まずは大和ハウスの分譲型の大規模団地で標準装備される。同社の設置を最初に、他の住宅メーカーにも普及させていく。

 新型宅配ボックスは、玄関の門などに設置するタイプで、ポストと宅配ボックスの上には表札とインターフォンが付いている。ポストの中のバーコードを専用端末で読み取ることで、印鑑やサインと同じ配達証明となるため、不在でも書留が受け取れる。利用するには同ボックス設置後、日本郵便への申し込みが必要。
 また宅配ボックスは、スマートフォンを使い、依頼ができるため、不在受取はもちろん、不在時の集荷も可能となる。日本郵便とヤマト便に対応している。日本郵便の場合は、集荷は着払いのみ受け付ける。扉は申し込み時に設定した暗証番号または専用鍵で開けることができる。
 開発の背景には、eコマース市場の拡大により、注文して自分宛てに送る荷物が増えたことがある。日中は受取人が不在のことも多く、再配達(国交省の2015年9月の調査では、約2割)が社会的に問題になっている。集荷についても、eコマースで買った商品を返品するケースも数多く発生しており、返品は無料にしている事業者も多い。このボックスを使えば、注文者が自宅で待っている必要もない。
 同ボックスには、小壁タイプと縦型タイプの2つがあり、小壁の宅配ボックス(高さ55cm、幅38cm、奥行き33cm)は宅配荷物全体の90%を、縦型の宅配ボックス(高さ45cm、幅17cm、奥行き31cm)は同60%をカバーする。
 大和ハウスでは、2月から販売開始した越谷レイクタウンの145区画や戸建分譲住宅地「セキュレアシティ レイクタウン美来(みく)の杜」の住宅に標準装備する。首都圏の住宅には標準装備するが、中部・関西の大型団地にもニーズを見ながら設置していく。今年度内に500戸を予定している。
 ナスタの笹川順平社長は「2年間で30万個の大型郵便物の入るポストがマンションやアパートに設置されたが、メール便・宅配便・書留の3つをクリアしなければ、問題は解決しない。まずは大和ハウス工業に音頭を取ってもらい、順次他の住宅メーカーにも当社の販売ルートに乗せて販売したい」と述べている。大和ハウス工業のオリジナルの価格は設置も含めて25万から30万だが、3月に他の事業者向けの価格を発表する予定。
 大和ハウス工業の大友浩嗣・常務執行役員は「共同住宅の大型郵便物の入るポストは好評をいただいている。再配達の削減ができる新しい宅配ボックスを3社で作り上げることができた。防犯や設置場所、色や形、使い勝手など細かいことにも対応してもらった。配達の課題の一助となれるよう、率先して装備し、社会に広めていきたい」と積極的に普及に努める考えだ。
 日本郵便の津山克彦・常務執行役員は「再配達の削減に取り組み、共同住宅への大型郵便物対応ボックスは普及してきた。5000万戸ある住宅の半分は戸建て。3社で戸建ての解決策が提案できた。今後は他の住宅メーカーにもこの規格を広げていく活動を行いたい。中古住宅もあるので、はこぽすやコンビニ受け取りなども含めていろんな解決策を組み合わせて、再配達の削減に努めたい」と述べている。



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