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第6871号

【主な記事】

トール社は海外展開の一石
日本郵政の長門社長が講演

 共同通信社の加盟社で作る「きさらぎ会」東京の例会が2月9日、都内のホテルで開かれ、日本郵政の長門正貢社長が「日本郵政 昨日、今日、明日」をテーマに講演した。
 長門社長は「郵便は苦戦しており、強い成長戦略と言えないかもしれないが、マーケットへのコミットとして、3年間は配当性向を5割としている。時代の空気を読んでしっかりと経営していきたい」と述べた。
 日本郵政グループ各社の事業内容や売上げについて説明した長門社長は「日本郵便は今後の成長戦略として、はがきや手紙の減少を宅配便で挽回しようとしている」と語り、ドイツポストが10年間で2・2兆円から2・5兆円を投じて、DHLをはじめ約120社をM&Aにより買収して、安定した会社になったことを紹介した。
 日本郵便はこれを参考にしてトール社を買収したことを明らかにし、「大きな方向感として、これからは海外にも展開しようと一石を打った。アジア・オセアニアはこれから伸びる」と今後の成長に期待感を示した。
 会場からは「中小企業への無担保融資は考えているか」という質問があり、長門社長は「私が銀行に入社した昭和47年頃は資金需要があり、お金を貸してさえいれば儲かった。現在は融資は7割、地方の銀行は5割しかなく、資金需要があまりないのが現状。メガバンクも国内ではあまり儲かっていない。そこに入っていくのかを慎重に考えたいと思っている」との考えを示した。
 その上で「ゆうちょ銀行は新規業務(認可申請)の調整をしている最中。住宅ローンについてはスルガ銀行と提携していて、個人ローン、住宅ローンのノウハウが蓄積されている。企業貸しについては全くやっていないが、大企業なら社内に審査体制があり、2000社を格付けしていてリスクくらいは分かる。中小企業貸しは大変だと思っている。そこに行って本当に勝てるか、ノウハウは十分か、斟酌して考えたうえで当局にお願いしたい」と述べた。
 無担保融資については、新銀行東京を失敗例として挙げ「セキュリティパッケージを将来のキャッシュフローや資源への投資であれば埋蔵量などに求める時代が来るとは思うが、時間がかかる。我々がそこに行ってやることではない」と事業の可能性に否定的だった。


講演する長門社長


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