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第6867号

【主な記事】

日本郵政株
2次売却の準備開始
金融2社は日本郵政の判断

 財務省は1月16日、日本郵政株式の2次売り出しの準備として、証券販売引受団の運営や国内外での株式販売戦略などを行う「主幹事証券会社」の選定手続きを開始した。選定について同省では「民営化案件であり、売り出しには、機動的に対応できる状況にしていかなければならないが、事務的準備に時間がかかる。販売開始時期や規模については未定で、株式市場の情勢を十分に見極めたい」としている。

 審査要領は同日開かれた財政制度等審議会・国有財産分科会で了承された。
 主幹事証券会社は2015年11月上場時には11社だったが、今回は2次売り出しのため6社に減らした。
 17日と18日に財務省で募集要領を交付、2月16日に募集を締め切る。3月には事業者が決定される。選定基準には、情報管理の徹底できる内部体制、手数料の水準、同社株の調査・分析内容、売出日程の考え方などがある。
 主幹事証券会社選定後は、引受証券会社の審査や目論見書の作成などの事務手続きに約3か月かかるため、売り出し日は、2017年3月期決算・6月の株主総会後の7月以降となる。売出期間は2週間程度を想定しているという。
 該当する時期は、夏季休暇や四半期ごとの決算発表日、年末年始、株主総会などが、売出日から3週間の間に重なってはいけないことから、9月、10月、12月、1月が挙げられる。
 民営化により政府が保有する株売却の過去の事例では、JTの第4次売り出しは、2012年5月に主幹事証券会社を選定後、翌年の2月から3月に行われた。
 日本郵政株は、2015年11月の上場時に1400円で売り出した。12月には一時2000円近くまでの高値を付けたが、その後、売出価格を割り込む時期もあった。昨年11月下旬以降、再び上昇に転じたものの、若干値下がりし1月17日の終値は1406円。
 政府が保有する日本郵政株の売却収入は、2022年までは、東日本大震災の復興財源に充当できることが決まっている。2013年1月の復興推進会議では約4兆円が復興財源のフレームとして盛り込まれている。
 2015年11月の上場時の日本郵政株売却(政府保有の19・5%)では、約1・4兆円が同財源に充てられた。政府の意向を受けて日本郵政は、保有するゆうちょ銀行株11%とかんぽ生命株11%を同時に売却し、自社株買いを行った。
 金融2社の2次売り出しについて財務省では「3社それぞれに株価があり、事情に応じて適切に対応することが大切。売却時期については、売り出し側の日本郵政の判断に任せたい」と今回は同時売却には言及しない方針だ。
 日本郵政は現状では、2015年4月に発表した同グループ中期経営計画の通期見通しの修正は行わない方針だが、マイナス金利や日本郵便の子会社・トール社の減収など、経営環境は逆風にある。


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