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第6866号

【主な記事】

優先順位を決め対応
日本郵政長門社長 
ゆうちょ銀行の貸付業務

 日本郵政の長門正貢社長は12月26日の定例会見で、日本郵便の子会社・トール社の新CEO(最高経営責任者)と新COO(最高執行責任者)の人事、日本郵政グループが業務開始予定の「みまもりサービス・健康増進サービス」の責任者を発表した。
 また、ゆうちょ銀行が2012年9月に認可申請していた個人向け貸付業務や法人向け貸付業務については「4年前とは経済状況も変わっており、ゆうちょ銀行内で何を優先すべきかを検討している。今年度中には方向性を決めて関係機関にご相談したい」と述べた。
【ゆうちょ銀行の認可申請中の貸付業務】
 ゆうちょ銀行は2012年9月3日に総務省と金融庁に対して「個人向け貸付業務(住宅ローン・カードローン・自動車や教育などの目的別ローン)」「住宅ローンに伴う長期火災保険を業務とするための損害保険募集業務」「法人等向け貸付業務」の3本を認可申請した。郵政民営化委員会への諮問・答申(2012年12月18日意見発表)は行われたが、金融庁で留まり、認可が下りないままとなっている。
 12月3日の会見で高市早苗総務大臣は「総務大臣として、申請があったまま4年以上結論が出ないことは決して好ましいことではないと思っている。ゆうちょ銀行の考えも伺い、金融庁ともしっかり連携し、審査を加速させたい」と述べている。
 長門社長は「大臣には心配いただき感謝している。4年前とは経済情勢も変わっており、ゆうちょ銀行は総合営業の観点から、お客さまに貢献する立場で、どの業務を優先したいのか、再検討する時期」と述べ、今年度中には優先業務を決定するという。
 改正郵政民営化法では他の金融機関との適正な競争環境などが条件になっている。収益が上がってビジネスとして成り立つことやそれを支える体制が、ゆうちょ銀行内で整っているかどうかなども問われる。
 長門社長は「民間金融機関から迷惑するという声が強い場合は、それも斟酌(しんしゃく)して対応したい。ゆうちょ銀行がどう判断するか検討しているところだ。民間銀行としての立ち位置も十分考えたいと思う」と述べた。
【トール社CEO、COO交代】
 日本郵便の子会社・トール社のブライアン・クルーガーCEOの退任に伴い、2017年1月から新CEO兼会長にジョン・マレン氏、新COOにマイケル・バーン氏が就任する。
 マレン氏は2006年から2009年までドイツポストDHLのCEO、2008年から2016年までは通信系のテルストラコーポレーションのチェアマンを務めた。バーン氏はウエストゲートロジスティクなど複数の物流会社のCEOを務め、2015年からはオーストラリア郵便の非常勤役員。両氏ともロジスティック業界出身。
 長門社長は「トール社の事業はエネルギーに偏っている。良いところを取り切れていないのが苦戦している理由だ。トール社はM&Aを通じて大きくなってきたが、重なっている部分が十分整理し切れていない。新しい経営陣でトール社の状況を跳ね返していきたい」と述べている。
【みまもりサービス・健康増進サービスのトップ人事】
 新規事業のみまもりサービス・健康増進サービスの責任者に、かんぽ生命の谷垣邦夫執行役副社長、鈴川泰三執行役、日本郵政の西口彰人執行役を選んだ。谷垣執行役副社長をヘッドとして、事業開始に向けて準備を進める。


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