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第6866号

【主な記事】

ロシアポストと覚書
日本郵便 郵便事業で協力

 総務省とロシア通信マスコミ省は12月16日、「ICT分野及び郵便分野における協力に係る覚書」を交わした。関連する両国の企業や研究機関の間でも5つの覚書が成立。郵便分野ではロシア郵便公社(ロシアポスト)と日本郵便が「郵便事業における協力に関する覚書」、東芝が「郵便・物流システムにおける戦略的協業に関する覚書」に署名した。

 署名式を前に高市早苗総務大臣とロシアのニキフォロフ通信マスコミ大臣が総務省で会談した。両大臣は政府が進める「日本型郵便インフラシステムの海外展開」で、日本郵便の経験やノウハウを共有していくことをはじめ、デジタル・デバイド解消、第5世代携帯電話への協力など覚書の内容を確認し、意見交換した。
 高市総務大臣は「ロシアの郵便システムの高度化や周波数の効率的な運用への協力について、政府間だけでなく企業や研究機関で協力が進むことは、日本とロシア双方にとって大きな経済的な利益がある。ウィンウィンの協力ができることを大変うれしく思う」とあいさつ。
 ニキフォロフ大臣も「プーチン大統領の訪日に期待が高まっていることをうれしく思う。覚書の準備をしていただいたことに感謝。今回の覚書に限らず、企業活動に直結する合意にも結び付けたい」と述べ、今後の展開に期待を寄せていた。
 署名式では、最初に高市総務大臣とニキフォロフ大臣が署名。引き続き企業や研究機関の署名が行われた。郵便事業での協力については、日本郵便の横山邦男社長とロシアポストのストラシノフ総裁がサインした。日ロ間の郵便輸送の効率化や越境eコマースの可能性の検討、ロシアの郵便技術の改善のため日本郵便の輸送技術やノウハウの活用などについて、ワーキンググループを設置して進めていく。
 両社は2013年6月にサンクト・ペテルブルグで開かれたロシアポスト主催の「郵便フォーラム」に参加したことを機に、ロシアポストが計画している郵便ネットワークの再編などに、日本郵便の経験やノウハウが活かせないかと協議を重ねてきた。
 日本郵便では「政府は日本の各種インフラの海外への展開を積極的に推進しており、日本郵便としても、創業以来培ってきた郵便事業の運営やオペレーションに関する経験・ノウハウを希望する国・地域の郵便事業体に積極的に提供していきたい。こうした取組みを通じ、関連する日本企業とも連携し、当該国・地域の郵便サービスの品質向上や国民生活の質の向上と経済の発展に微力ながら役に立ちたい」とコメントしている。
 郵便・物流システム事業の戦略的な協業に関する覚書は、東芝の秋葉慎一郎副社長とストラシノフ総裁の間で交わされた。東芝は9月にロシアポストとの間ですでに戦略的な協業に関する覚書を交わしており、今回は運用改善なども盛り込まれ更に拡張した。日本の政策金融機関「国際協力銀行」(JBIC)やリスクに備えるための「日本貿易保険」(NEXI)でのファイナンスの可能性を追求することにも合意した。
 東芝は2014年、モスクワ国際交換局に郵便物自動処理システムを導入しており、小包や郵便物の処理能力の向上に貢献している。この日、ロシアポストから小型小包処理装置2式を受注しており、モスクワ国際交換局とノヴォシビルスク国際交換局に納入されることも決まっている。東芝では「戦略的パートナーとして関係を更に強化したい。郵便・物流システムのトータルインテグレーターとして、ロシアの郵便・物流事業の拡大を加速したい」とビジネスの拡大を図っていく方針。
 署名式を終えて、高市総務大臣は「6本もの署名がなされたのは大きな成果。企業の交流や研究開発の協力も含まれており、両政府がしっかりと協力しながらウィンウィンの関係となるよう、このすばらしい協力関係の後押しを強化したい」と述べた。  
 ニキフォロフ大臣も「高市総務大臣とは、協力関係発展のためにも定期的に会いたいという話をした。企業同士の覚書が締結された大きなプロジェクトの始まりでもある。重要なのは民間の関係の発展で期待している。今回、温かく受け入れていただき感謝している」とあいさつした。



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