「通信文化新報」特集記事詳細

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第6862・6863合併号

【主な記事】

地域に〝笑顔〟届けたい
粂井利久東北支社長

 2016(平成28)年度下半期も折り返し地点にきた。各地域の郵便局は郵便、貯金、保険の目標達成と年賀状追い込みの繁忙な日々の中で、猛然と頑張っている。4月に東北支社長に就任した粂井利久支社長のモットーは「笑顔ニコニコ、言葉ハキハキ、瞳キラキラ」。「地域のお客さまに笑顔を届けたい。そのためには仲間に笑顔で仕事をしてもらえるよう縁の下の力持ちの精神を」と強調する。(園田万里子)

縁の下の力持ちの精神を

■着任されてから大変に時間が経ってしまいましたが、支社長としての思いなどを。
 東北の皆さんは、本当に「実直」、「素直」で「まじめ」。そして忍耐強く、「お客さまと社員の笑顔日本一」と「損益日本一」を目指して懸命に頑張っている。「お客さまと社員の笑顔日本一」とするために、私が言い続けていることは「笑顔ニコニコ、言葉ハキハキ、瞳キラキラ」。お客さまを笑顔とするためには、まず、郵便局の社員が笑顔ニコニコでなければならない。言葉をハキハキするには元気なあいさつと勉強。選ばれる金融機関、選ばれる物流企業になるためには郵便局の商品をとことん勉強し、かつ、ライバル会社の商品も学ばなければいけない。よく理解し、自信がつけば瞳をキラキラと輝かせてお客さまに伝えられる。支社の仕事はその環境と舞台を作り上げることだと思っている。 
 また、社員同士が笑顔で仕事ができるように、チームのため、前島密の「縁の下の力持ちになることを厭うな。人のためによかれと願う心を常に持てよ」の精神で、縁の下の力持ちになり、影で一生懸命頑張っている社員の皆さんへの労いも忘れてはならない。

■三事業別の事業方針について。
 郵便・物流事業は、収益力向上とゆうパック黒字化に向けた取組みを中心に、現在は年賀営業と奪還営業に力を入れている。経営基盤の強化のため、足腰を鍛え、土壌を耕す取組みを展開している。その一つが、好取組を積極的に取り入れる「真似者(マネジャー)の取組み」。「先ずは経営者(マネジャー)『真似者』として、良い取組みを真似しよう」という考えのもと、各種会議などでの共有や、支社がサポートし、各局でオリジナリティを交えた取組みを年度末までに根付かせていくものだ。
 もう一つ、社員がイメージしやすい言葉を使って示す取組みを実践している。例えば、社員が集めた情報を収入に替える「情報を収益に」、トップ自らお客さまの管理をしっかり行う「社員管理から顧客管理へ」、ソリューション営業については「物流のワンストップサービス」などがある。
 また、生産性の向上に向けたコストコントロールについては、業務量に見合った要員配置を推進する基本に忠実な取組みを展開中だ。ゆうパックの主力、特産品はお客さまの協力を得ながら効率的なオペレーションを実施。そのほか、ネットワークの価値向上に向け、新たな地域区分局となる岩手局、郡山東局の円滑な開局、立ち上がりのため各種準備にいそしんでいる。
 貯金は2016(平成28)年度の各営業目標、総預かり資産を拡大するために「東北ゆうちょトータル営業推進本部」を設置(3月24日)し、PDCAサイクルによる推進管理を実施してきた。
 最重要課題の「集中満期対策(V3)」は、8月期に再預入率77・54%(全国6位)と概ね順調なスタートを切った。9月以降は再預入率80%、払戻率80%の目安を独自に設定した。東北として集満80(シューマンエイティ)をスローガンに掲げ、9月末累計で79・65%(全国6位)を確保。今後、より高みの再預入を実現する。総仕上げ期を目前に控え、集中満期とともに、基本動作の徹底による集中満期以外の預入獲得による月次計画確保にもこだわっていくことが重要と考えている。
 投資信託については、多様化する資産運用ニーズに適切に応える社会的使命を果たすため、稼働口座、NISA口座と投信自動積立件数の推進を強化し、それぞれ着実に増加している。第3四半期にはさらに大きな成果が出るものと確信している。引き続き、「投信を利用いただくお客さまと投信を販売できる社員」の裾野拡大、販売目標達成に向けた継続的な郵便局フォロー及び集中満期の受け皿として新規顧客の拡大に取り組んでいく。
 東北かんぽは4月の保険加入限度額の引上げ、8月からの保険料改定に伴う7月期の積極的な勧奨などで累計推進計画は確保しているものの、現在、全国平均を下回っている。生命保険新契約保険料目標の達成は、100周年の節目年にあって至上命題。「12月末までの全国平均確保」を目指し、「営業活動量の増加」と「販売スキルの向上」の二つの課題を克服することを集中的に展開している。「かんぽつながる安心活動」におけるアフターフォローの活用により、積極的な訪問と声かけ勧奨、また、特約DVDを活用した販売スキル向上研修会の実施などにも取り組んでいる。 
 さらには、お客さまの多様なニーズの受け皿となる提携金融商品のがん保険や自動車保険、引受条件緩和型医療保険などの販売も強力に推し進めている。10月から開始した「がんを経験された方にも加入いただけるがん保険」も、非取扱局から取扱局への紹介を加速するなど、郵便局窓口を利用いただいているお客さまの多様なニーズに応えるべく、更に積極的な取組みを展開していく。
 
■機能重視のマネジメントの状況は。
 16年度からの本格実施により、郵便局が持つ機能に応じて、新たな郵便局の推進管理体制を構築し、社員一人ひとりの専門性を高め、「営業力」と「生産性」の更なる向上に取り組める環境が整備された。窓口機能は15年度から地区連絡会、部会と単独マネジメント局の窓口営業部が一体となった活動を推進してきた。今年度も地区統括局長、部会長のマネジメントのもと、さらに面としての営業の深化が図られている。
 郵便・物流機能、金融渉外機能にあっても、推進責任者である単独マネジメント局長と金融渉外本部長による専門性の高い損益管理と営業推進、人材育成に取り組んでいる。今後の課題は、それぞれの機能の専門性を高めながら、連携によるシナジー効果を最大限発揮していくことだ。お互いの持つ顧客基盤や地域情報を共有するとともに、三事業一体の商品とサービスをワンストップで提供できる郵便局の強みを活かし、更なる収益の拡大を図る。同時に、郵便局の意見に耳を傾けながら、より良い体制作りをしていきたい。
 
■東日本大震災で被災した郵便局の課題と対応策は。
 現在も営業を再開できない郵便局が56局(直営局42局、簡易局14局)ある。津波被害地域と原発事故被災地域があるが、それぞれの地域と自治体によって復興状況が大きく異なる。お客さまに笑顔になっていただくためにどのような郵便局サービスが提供できるかが課題だ。
 支社は常にアンテナを高くして、自治体から最新の復興計画などの情報収集を行い、郵便局の再開を検討している。私の就任以降、原発被災局の葛尾局(福島県)と津波被災局の平井賀局(岩手県)が6月に元気に再開できた。二つの地域は、被災前と比べて未だ十分な復興に至っていないが、両局の社員は「誇りとプロ意識と責任感」を持って、職務に当たっている。
 今後も被災されたお客さまの笑顔と地域復興のため、郵便局サービスを通じて貢献していく。

■本社時代、年賀イノベーション研究会や年賀情報交換会に参加されていらっしゃいました。最終盤の追い込みですね。
 郵便局と支社の社員から年賀状のアイデアを募集したところ、皆が様々な知恵を持っていることが分かった。80件ほど寄せられた中で30件ほど採用した。
 社員発のアイデアをもっと取り入れたい。主役はやはり現場の社員だと思う。
 加えて東北から、喪中文化を生み出したいと考えている。喪中はがきは案外、受け取るとそのままにしてしまう人が多い。近年はお線香便りなども好評いただいているが、自分が喪中で、もし「お母様がお亡くなりになり、さぞ気落ちされていることでしょう。ご冥福を心よりお祈り申し上げます」というはがきを受け取ったら、非常に癒される。実際に自分が書いて出した相手から、泣きながら御礼の連絡を受けた。年内でなくても寒中見舞いという形でも喪中見舞を提案したい。
 また、喪中の場合、新年のあいさつは自分からしないものの、年賀状を受け取ることは問題ない。喪中はがきの末尾に「喪中ですが、年賀状は毎年いただけると嬉しいです」という一言を入れてもらう。年賀状のやり取りが喪中で途切れてしまうことが多いが、喪中の方からすれば寂しい正月には、尚さら年賀状が嬉しいはず。地域の風習に配慮しながら、賛同いただける社員の皆さんから広げていきたいと思っている。
 
■高齢化社会の大切な視点と思います。郵便局現場、特に郵便局長の方々へのメッセージを。
 東北には社員約3万人、家族やOBを含めると少なくとも約10万人。東北の人口約900万人のおよそ100分の1に当たる、100人に一人の人生とお客さまの笑顔と幸せを背負っている。145年間守り続けてきた「安心・安全・便利・信頼・真心・感動・生活・情報・笑顔」の拠点として郵便局を発展させ、地域を、日本を支えていくために、郵便局長は「経営者」としての意識を持たなければいけないと思う。大激変の時代に今までどおりでは到底太刀打ちできない。経営者としての仕事の仕方に変えていってほしい。
 年度末を全ての社員が笑顔で迎えられるようにしましょう。そのためには、まず健康と交通安全にくれぐれも留意いただき、自然災害への備えもしっかり行いながら全力を尽くす、よろしくお願いいたします。


粂井東北支社長


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