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第6849・6850合併号

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[日本郵便]国際物流総合展に初出展
トール社買収で国際物流企業に

 「物流展で見つけよう~課題解決のネクストステップ」をテーマに「第12回国際物流総合展」(日本産業機械工業会、日本ロジスティクスシステム協会など7団体主催)が9月13日から16日まで東京ビッグサイトで開催された。日本郵便とトールエクスプレスジャパン(2009年にトールグループがフットワークエクスプレスを買収)が共同で初出展した。事業者向けプレゼンテーションも開かれ、立ち見が出るほどの盛況だった。

 同展は2年に1回開かれる、アジア最大規模の物流・ロジスティクスに関する総合展示会。ブースの展示のほか、各社のプレゼンテーションやセミナー、商談会などが開かれる。
 日本郵便は昨年5月に、世界第5位の国際総合物流会社「トールグループ」を買収したことから、国際物流関連の売り上げ規模が飛躍的に増大したことで同展に初出展した。
 ブースでは『日本をつなぐ「郵便」から、世界をうごかす「物流」へ。』をテーマに、トール社は2017年5月にシンガポールに建設中の大規模物流施設「トールシティ」をメーンに会社をPR。日本郵便もワンストップ物流ソリューションや各種サービスをパネルで紹介していた。集配業務が効率化できる郵便局と一体化した物流センターが全国に拡大していることをアピール。特に来年春にオープンする新潟、岡山、京都、北上の各市にオープンする4つの大型の物流センターはイラスト付きで紹介されていた。
 トールシティは、シンガポールのトゥアス地区に2億1000万シンガポールドルを投じて建設される。総床面積約10万1300平方メートル、5階建て。広さは東京ドーム2・3個分に相当する巨大施設だ。2025年にアジア最大級の国際ハブ港のシンガポール港がトールシティの近くに移転することから、東南アジアの物流拠点として活用される。
 日本からの物品をここに収容し、今後発展が予想される東南アジアには航空便を利用すれば24時間以内でアクセス可能となる。新港(トゥアス港)から3キロの所にあるトールシティは同港がオープンすれば、周辺の国なら5日ほどでアクセスできるようになる。トール社によると、この施設は内部の設備も含めて、顧客のニーズに合ったオーダーメイドの物流ソリューションを提供する。現地でこの建設に携わる日本郵便の平木利親・国際物流戦略室係長は「この周辺ではこれだけ大規模の物流施設の新設は見られない。日系の物流会社の施設も建設されているが、この施設の半分くらいの規模。大きな施設は地元も含めてビジネスの信用にもつながる」と話す。
 13日には「日本郵便の物流ソリューション及びトール社の概要・サービス」をテーマにプレゼンテーションが開かれ、110席は満席、40人ほどが立見となった。まず、日本郵便の石橋守・郵便・物流営業部ソリューション担当部付部長がトール社を紹介。
 石橋部長は「昨年トール社を買収したことは日本郵便にとって大きな変革になった。日本郵便はグローバルプレイヤーになった」と述べ、トール社がタスマニアから日本に冷蔵コンテナで牛肉を運んでいることやメルボルンに省力化した最新の倉庫、建設中のシンガポールの物流施設、海洋掘削船の後方支援事業など同社の事業について説明した。
 トール社からは、グローバルセールスのエキスパートのエリック・ピリング氏が同社の業務内容を紹介。「日本郵便のフルサポートを受けていることは我々の大きな強み」と述べ、日本郵便の傘下にあることを歓迎していた。「トール社は日本にはまだ馴染みがないが、これを機に知っていただきたい」と来場者にアピールしていた。



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