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第6837号

【主な記事】

上場後初の株主総会
日本郵政グループ 2346人が出席


 日本郵政グループの第11回株主総会が6月21日から23日までの3日間、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区)で開かれた。21日はゆうちょ銀行、22日はかんぽ生命保険、23日は日本郵政で、昨年11月の上場後初めて個人投資家などを迎えての開催となった。3社合わせて、2346人の株主が出席。質問や要望が相次いだ。各社の取締役の人事案件や2015年度の決算が報告され、賛成多数で承認された。

 日本郵政の株主は57万8771人で、そのうち、19万895人がインターネットや郵送などで先に議決権の意思表示を行っていた。同社は現在、政府が80%の株式を保有しており、88%の議決権は政府が持っている(政府が保有している株式の一部を自社株買いしたが、その分は議決権を有さないため、政府の議決権の持ち分割合が増えている)。
 日本郵政の株主総会には、1194人が出席。議長の長門正貢社長が「上場に際しては皆さまのご支援ありがとうございます。決意を新たに、日本郵政グループの発展に全力を尽くしたい」とあいさつ。八木柾監査委員長(社外取締役)から監査の報告があった。
 2015年度の日本郵政グループの連結決算報告、横山邦男氏(三井住友アセットマネジメント代表取締役社長兼CEO)、池田憲人ゆうちょ銀行社長ら5人の新任の取締役を含む15人の人事案件(任期満了に伴う改選)が一括上程された。
 事業報告の中で長門社長は「2016年度はゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式売却により、350億円の収益減となるが、2015年度並みの配当1株50円を予定。企業を取り巻く環境は厳しいが、当期純利益4500億円を目指し、日本郵政グループの企業価値向上に努めていきたい」と述べた。
 この後、9人の株主から質問があった。質問者は挙手のあった株主をブロックごとに長門議長が指名する形で行われた。その内容は「ゆうちょ銀行・かんぽ生命の株式売却とグループ一体経営について」や「オレオレ詐欺への取り組み」、「指名委員会の運営や取締役候補の選定方法」「従業員の処遇の改善」「自社株買いでの株価のテコ入れ」「減少している深夜営業の郵便窓口の復活」など多岐にわたった。
 株式売却時期とグループ会社の一体経営については鈴木康雄副社長が「株式の売却は一昨年末に西室前社長が示した50%までは段階的に保有を引き下げていくという方針に沿って行っている。経営やユニバーサルサービスの状況、株式市場の動向などを踏まえ売却していくが、具体的なスケジュールは決めていない。一体経営については、ゆうちょ銀行とかんぽ生命からみても貯金と保険の9割は郵便局を通じて入っている。お互いに必要不可欠な存在で、相互に助け合って事業を進めていくことは今後も変わらない」と答えた。
 指名委員会については「取締役は基本方針の基準があり、それ沿って探した。男女、国籍は考えず、能力や経験から適任を選んでいる」と述べた。
オレオレ詐欺対策については田中進常務執行役が「疑いのある送付先リストがあり、該当すれば警察に通報している。レターパックも引き受け時に声かけしている。X線検査もしており、中身にお札がないかを確認をしている」と答えた。
 従業員の処遇については「郵便局は財産と言っているのに従業員は財産ではないのか。儲かっているということで、配当や内部留保の説明はあったが、従業員への回答が出てきてない」という意見に対して、勝野成治専務執行役は「社員は財産。春闘の時期に処遇改善を話し合っていきたい」、長門社長が「従業員も大事なステークホルダー。2万4000の郵便局とそこにいるお客さまは宝。それを支える従業員も大事だ。海外投資家もその本当の価値を理解している」と回答した。

総務省から認可書交付
日本郵政の取締役

 6月23日に開催された日本郵政の株主総会で取締役(15人)が提案通り承認されたことを受け、総務省は同日、取締役を認可した。認可書交付式が行われ、高市早苗総務大臣から日本郵政の長門正貢社長に認可書が手渡された。
 日本郵政の取締役は日本郵政株式会社法の規定により、株主総会の承認後に、総務大臣の認可を受ける必要がある。



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