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第6836号

【主な記事】

特定信書便で法改正
事業者に再委託認める

 総務省は6月7日、民間事業者による信書の送達に関する法律関係審査基準を一部改正した。特定信書便事業者(認可を受けた事業者は現在473社)は、事前に再委託した事業者を承認していれば、再委託ができるようになった。施行日は同日。

 改正前は特定信書を配達する場合、再委託が認められているのは日本郵便だけだったが、改正により特定信書便事業者は日本郵便と同等の契約ができるようになった。
 例えばこれまでは、特定信書を東京から利尻島に運ぼうとする場合、委託事業者は札幌までの輸送網しか持っていなければ、荷物は札幌止まりとなり、利尻島向けの特定信書を取り扱うことができなかった。
 また、赤帽のような事業協同組合の場合、組合が特定信書便事業者の認可を受けていても、ラストワンマイルを担う会員の事業者と組合の間の契約は業務請負となるため再委託となり、契約ができないという不便もあった。再委託を請けた事業者は認可事業者でなくても特定信書を運ぶことができるほか、業務を日本郵便だけではなく、複数の信書便事業者から請け負うことが可能となった。離島や山間地、狭いエリアの配送を担う小さな個人事業者のビジネスチャンスが広がった。
 今回の改正について総務省では「事業者からの要望と競争条件の整備という観点から行ったが、日本郵便のユニバーサルサービスの支障にならないことも考慮した」としている。日本郵便では「影響についてはないとは言えないが、施行したばかりなので今後の状況を見守りたい」としている。
 また、同改正による信書便の安全性の担保について、総務省では「特定信書に対して最終責任を負うのは委託した信書便事業者。その事業者が再委託事業者を事前に承認する段階で、適切かどうかを判断できる」としている。
 同法改正に当たり、総務省では4月16日から5月20日まで、パブリックコメントを実施した。その結果、5件の意見が寄せられた。反対意見も寄せられており、「多重派遣が発生する恐れがあり、十分な管理が行われなくなる可能性がある。委託元が再委託ではなく、直接契約すべき」というもの。
 信書便事業者協会は「効率的な業務運営につながり、市場の活性化につながる」と歓迎しており、業界として「適正な運営の確保と利用者の利益の保護から、再委託に係る基準を定め、その普及・啓発・指導を行いたい」と意見を述べている。
 特定信書は、信書郵便物の中でも①長さ・幅・厚さの合計が73センチ以上または重さが4キロ以上②差し出された時間から3時間以内で配達される③料金が800円以上という三つの項目のうち、どれか一つでも当てはまればよい。
 ビジネスモデルの事例としては、地方自治体の信書など、本庁や関連施設を巡回して、集配する業務や本店・支店間の集配などがある。


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