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第6817号

【主な記事】

JP投信が初商品
かんぽの宿 収益出る施設に集中
[日本郵政]西室社長記者会見

 日本郵政の西室泰三社長は1月28日の記者会見で、かんぽの宿のリニューアル、年末年始の郵便業務運行、JP投信株式会社の新商品の取扱開始などについて明らかにした。かんぽの宿は「収益が上がるものにできるだけ集中する。第三者的な評価を含めてポテンシャルのあるものを選定、どこまで売却を進めるかは改めて発表する」とした。年末年始の業務では「マイナンバー関連の郵便物の配達があり、厳しい状況だったが、例年以上に販売活動に積極的に取り組んでいただいた」と社員へ感謝の言葉を述べた。また、JP投信株式会社が、初めて設定・運用する投信商品の取り扱いを2月22日から開始するとした。

 会見では、かんぽの宿のリニューアルを昨年12月から今年7月にかけて行っていることを取り上げた。まず静岡県熱海市の「かんぽの宿 熱海」は、12月22日に本館をリニューアルオープンした。相模湾を見下ろす高台にあり、バルコニーからは朝日と紺碧の海を見ることのできる恵まれたロケーション、開放感あふれる露天風呂を新設、レストランも改修した。
 また、西室社長は道路をはさんで建つ別館も4月から工事を開始し、7月にはリニューアルオープンすることを明らかにした。露天風呂大浴場、レストランの改修、家族風呂の新設などを行う。
 愛知県知多郡美浜町の「かんぽの宿 知多美浜」は、2月4日にオープン。2日には西室社長が出席して内覧会が行われた。伊勢湾に面し、海水浴場や水族館、遊園地が近く、南国リゾートを感じさせるロビーに改修した。レストランや露天風呂も新設した。
 奈良市の「かんぽの宿 奈良」は3月4日にオープンする。世界遺産が点在する古都の閑静な宿。展望風呂付特別和洋室を設けるなどプライベート空間をグレードアップする。4~13日はリニューアル記念特別宿泊プランが用意されている。
 西室社長は「この3宿をはじめにして、全国のかんぽの宿では年間160万人を超える皆さんに利用いただき、各地域に根ざした心のこもったおもてなしとサービスを提供している。今回のリニューアルを機にさらにサービス向上に努めたい。ぜひ、利用いただきたい」と強調した。
 かんぽの宿などの宿泊施設は、昨年12月現在で53か所(休館4か所を含む)あるが、西室社長は「全部を運営し続けるというつもりはない」とし、「かんぽの宿の中でも本当に収益が上がり、お客さまに喜んでもらっているものにできるだけ集中する。少しずつでも直していけば、もっと来ていただけるようなポテンシャルのあるものを第三者的な評価を含めて行っており、どこまで売却を進めていくかということについては改めて発表する」とした。
 また「多くのステークホルダーがいる会社になったわけだから、収益を産むことができないような資産をいたずらに持つことはできない。病院についても、どのように措置するかの基本的な方針を数か月の内には発表したい」と述べた。
 日本郵便の年末年始の業務繁忙の総括では「今期は12月中旬以降までマイナンバー関連の郵便物の配達があり、ゆうパック、年賀の業務運行は例年にも増して緊張感を持って臨んだ」とし、「マイナンバーの郵便物関連は完了し、ゆうパック、年賀ともに概ね順調に業務運行を確保できた」と評価した。
 「ゆうパックは11月20日から12月31日まで、前期を1.6%上回る約8600万個を届けることができた。年賀状は元旦に17億4200万通を配達。楽しみにしていただいている皆さんに喜んでいただけたものと確信している」と総括した。
 年賀はがきの販売は約29億714万枚になったが、「過去の2年間の販売枚数は前期を約1億枚下回っていたが、今期は約7000万枚の減少に止めた。これまで毎年1億枚のペースで減っていたものを、なんとか7000万枚の減少に止めることができたのは、いろいろな努力の成果だと思う」と語った。
 「今年は人気アイドルグループの嵐に若年層に関心を持ってもらうサービスを紹介していただき、ビジネス年賀の発売など新たな需要の創出に様々な取り組みをした結果だ」とし、「マイナンバーの郵便物への対応もあり厳しい状況だったが、例年以上に社員、これは管理者を含めてだが販売活動に積極的に取り組んでいただいた」と社員への感謝の言葉を述べた。
 このほか、昨年8月18日にゆうちょ銀行、日本郵便、三井住友信託銀行、野村ホールディングスと共同で設立したJP投信株式会社が、初めて設定・運用する投信商品を2月22日から取り扱うことを明らかにした。約1500の投資信託取扱郵便局、ゆうちょ銀行の店舗で、グループ専用に設定された商品を販売していくことになる。
 「日本郵政グループの中期計画において、グループの成長発展の戦略の一つとして、ゆうちょ銀行の収益増強を掲げた。本年度から3年間で資産運用商品については残高を1兆円増加させ、将来の安定的な収益基盤を確保することを目指していることは既に発表している」とし、「その実現のため、JP投信の新商品の販売を契機に、投信の裾野拡大に郵便局ネットワークを活用、強力に推進する」とした。
 また「今回の取組みは政府が推し進めている貯蓄から投資へという流れ、これは日本郵政グループの上場も大きな流れをつくったと思うが、さらにこうした観点から強力かつ積極的に取り組んでいきたい」と意欲を示した。
 このほか、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の限度額の引上げを柱とする昨年12月の郵政民営化委員会の所見については「いろいろと配慮の行き届いた所見」との感想を述べるとともに、「地域の金融機関とは強く深い関係を築いていきたい。補完的に仕事ができる状況にあると思う」との考えを改めて明らかにした。
 今後の株式売却については「できるだけ早く行った方がいいだろうと思っているが、具体的な内容についてははっきり決めていない」としつつも、「2月中ごろには方向性は明らかにできる」との考えも示した。



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