「通信文化新報」特集記事詳細

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第6816号

【主な記事】

地域貢献は郵便局の原点②

新潟県魚沼地区会

〈発表者〉髙橋秀利局長(大割野局)

〈補助者〉山田 均局長(秋成局)
自治体と緊密に連携


 新潟県魚沼地区郵便局長会中魚沼西部会は、自治体との連携を緊密にするため「町づくり協議会」を開催、苗場山麓ジオパーク認定に向けての活動や観光PRの絵入りはがき作成など様々な施策を行っている。引き続き地域との連携を一層深め、郵便局の存在価値を高める取り組みを充実していくことにしている。
=全特地域貢献活動発表会の取り組み事例を紹介=

 新潟県魚沼地区会は、魚沼地域の4市2町にある渉外局12、窓口局46、単マネ局3の61局、6部会で会員は61人。中魚沼西部会は渉外局2、窓口局8の10局。自治体との良好な関係を維持、継続していくために、年に3回ほど「町づくり協議会」を開催している。
 魚沼地域の発展のため「郵便局と自治体が協力してできることは何か」について意見交換している。具体的には「地場産業の振興」「総務省主管の過疎集落等自立再生対策事業」「地域おこし協力隊」「ふるさと納税者への贈答品の発送」「魚沼観光物産展の開催」「魚沼地域限定のカタログ作成と販売」「郵便局の各種サービスの説明」「苗場山麓ジオパーク認定に向けた活動など自治体からの各種取り組みの説明」などだ。
 「地域おこし協力隊」は、津南町からも参加しており十日町市では21人の隊員がいる。「苗場山麓ジオパーク認定に向けた取り組み」は、津南町と長野県栄村が目指した「苗場山麓ジオパーク認定」に郵便局が協力できることとして「風景印を活用したPR活動」を町づくり協議会で提案した。
 新潟県魚沼地区会の青木進会長(信越地方会長/全特副会長)に報告し、下船渡郵便局長を中心とした活動を開始、津南町7、栄村3の10局が一体となり、風景印のデザインから始めた。津南町、栄村の担当者を含めて会議を開催、記念品、スタンプラリーの期間など何度も役場に足を運んですりあわせた。PR方法は支社も含めて協議、タイミング良くFM新潟への出演依頼があり、ラジオでのPRができた。信越支社からも青木会長の力添えで報道発表をしてもらった。
 そして平成26年10月1日、風景印使用開始となり、「スタンプラリー」が10月15日~27年9月30日まで行われた。記念品は郵便局、各自治体が1品を出し合い、「スタンプラリー台紙」の配布時には「めざせ!苗場山麓ジオパーク」「津南町観光案内」「栄村観光案内」の3種類のパンフレットを添えた。
 そうした活動もあり、26年12月22日の「苗場山麓ジオパーク認定」に繋がった。そして「苗場山麓ジオパーク」の特徴である苗場山、雪、河岸段丘、縄文をあしらったロゴマークも完成した。
 ジオパークとは、地球に関わる様々な自然遺産、例えば地層・岩石・地形・火山・断層などを含む自然豊かな「公園」のことだ。つまり、地球丸ごと考える場所、それがジオパーク。現在、「苗場山麓ジオパーク」のフレーム切手作成に向けて調整している。
 さらに、2種類の絵入りはがきも青木会長の発案で作成した。津南町では絵入りはがきを「津南町町制60周年記念式典」の返信用はがきとして活用している。魚沼地区では4市2町で絵入はがきを作成、各部会で自治体と連携し観光PRに貢献している。
 26年9月には「津南町町制60周年記念事業」の一つとして「ラジオ体操」を誘致した。津南町教育委員会と何度も打合せ、当日は雨にもかかわらず津南中等教育学校の体育館に約1000人が集まり、全員が入り切れないほどだった。誘致に当たっては青木会長の的確な指示のもと「ラジオ体操Tシャツ」の作製・贈呈式を行い、津南町に感謝され郵便局との繋がりがより一層深まった。
 津南町長には信越地方会ソフトボール大会、魚沼連絡会運動会など各種行事に挨拶に来ていただいている。
 津南町長との信頼関係では、前述の2種類の絵入りはがきを贈呈した時に「青木会長に折り入って相談がある。アポを取ってもらえないか」と相談された。青木会長に報告し、その後の対応に移った。それは「津南町に『データセンター』を誘致したいので協力いただきたい」とのことだった。
 津南町長の考えは「現代はIT社会である。ほぼすべてのことがデータで管理されている。この大切なデータを管理する施設を岩盤が強く、地震に強い津南に造りたい。必ず発生するといわれている東南海地震などを考えると、一極集中は非常に危険。データについては危険性の少ないところで管理する方が日本のためだ。“京”に代表されるスーパーコンピュータの運用は熱との戦いでもある。津南には雪がありコンピュータの冷却に使う。原子力政策の問題もあり、雪を活用することで、節電や環境問題への対応もできる。津南町の税収増加も図れる」ということだった。
 後日、津南町長と青木会長は、柘植芳文参議院議員を通じて、当時の山口俊一内閣府特命大臣に陳情した。もちろんこの件は、中魚沼西部会だけが信頼され、頼りにされているということではなく、局長会組織全体が地域のために汗をかいてきたことが認められていることの証だ。
 その行動が、今回のような相談を受けることに繋がっているのだと確信している。
 さて、中魚沼西部会では27年7月25日~8月21日まで「ひまわり広場臨時出張所」を開設した。7月20日のテント立てから始まり、9月6日の片付けも地元の業者と連携して行っている。「ひまわり広場臨時出張所」ではフレーム切手を中心に記念切手、かもめ~る、物販を取り扱った。
 25年8月には、筆談での相談ができるように「新潟県中途失難聴者協会」から購入した「耳のマーク」が入った表示板を部会内全局の窓口カウンターに配置している。26年2月の部会開催時には「認知症サポーター研修」を部会内全局長が受講した。今年度中には社員全員を対象に講習会を行う予定だ。
 27年8月1日には、津南町でも過疎地である約100世帯を受け持つ三箇郵便局の主催で、津南町地域協力隊の支援を得て旧三箇小学校でバーベキュー大会を開催した。三箇地域から60人、三箇郵便局長、部会社員5人が参加し、地域の方から感謝の言葉をいただいている。
 また、部会では地域振興につながる地元特産品のカタログ販売に力を入れている。「アスパラ」「とうもろこし」「雪下にんじん」などの単独チラシのほか、今年は魚沼の特産18品目を掲載した「魚沼うまいもの発」により年間を通して販売している。
 もともと「ふるさと小包」は地域の特産品の販売を通じて、地域の振興・発展に寄与することを目的として開発されたもので、私たちの先輩は地方創生に取り組んだ先達と言える。
 なお、これは通信文化新報に載った青木会長の言葉だが、「郵便局を通じて地元の特産品が売れ、観光PRができて町おこしにつながれば、郵便局も地元も潤い“一石二鳥”。郵便局長は郵便局経営だけでなく、地域振興のためにも頑張っていかなければならない」。
 地区総会には区内選出の国会議員、県議会議員、全ての首長を招いている。普段会うことの少ない議員、首長とも意見交換することができる。局長は自分を知ってもらう良い機会になっている。昨年は「郵便局地方創生説明会」が7月8日に開催され、青木会長から首長に説明をしていただいた。
 地域と連携し地域の信頼を得ること、議員、首長と面識ができることは、今年夏の決戦に向けた取り組みにもつながる。前回8位の成績を上回り、全国ベスト5の成績を残せるよう、地域との連携をより一層深め、郵便局の存在感をより高めて「地域貢献」に邁進していく。


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