「通信文化新報」特集記事詳細

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第6806号

【主な記事】

業務改善の向上へ
東京支社 人材育成で新施策

 日本郵政グループの最大の強みとなる安全で安心な“郵便局ブランド”をさらに強固にして市場の競争に打ち勝っていこうと、東京支社(井上修三常務執行役員東京支社長)が「東京業務チャレンジ2015」を実施した。業務知識習得への意識を向上させることで社員を育成し、営業と業務の両輪を強化して品質を高めることでブランドに磨きをかける。これまでも業務については「ミスの少なさ」などを基準に優秀な組織を称える表彰はあったが、総合的に社員の業務知識に関する試験を行い、品質を競い合うものはなかった。社員からのアイデアを踏まえて、支社金融業務部が中心となって実現した画期的なもので、今後の横展開も期待されている。

 日本郵便は営業と業務それぞれの取り組みを、本社だけでなく13支社ごとに毎夏、優秀な成績を収めた個人や地区連絡会を推奨式典で表彰している。また、物流営業を主体に秋には「郵便外務班長取組発表全国大会」を開催し、最前線の班が成功事例を学び合い、横展開につなげる仕組みを構築している。それら業務表彰は、社員が実際に顧客と接する中でミスが生じなかったかという正確さを主眼に、真心を込めた安心感のあるサービスが実践できているかを基準に評価がなされる。
 「東京業務チャレンジ2015」はそうした現場での実践結果を評価するものでなく、ベテラン社員から窓口経験の浅い社員まで日頃からどの程度真摯に業務を勉強して顧客サービスに努力しているか、筆記を中心に実技などの試験を行い、互いに向上し合うことを目指している。業務に関する意識やモチベーションを高め、人材育成ができる施策を支社内で考えていたところ、「営業面だけでなく、業務面でも頑張っている社員にも光を当ててほしい」との郵便局社員の声を受けて今回の施策が考案された。
 「東京業務チャレンジ2015」はエリアマネジメントの各局、部会、地区連絡会と3段階で優秀者を選抜し、支社で開催する決勝大会で勝ち抜いた社員を推賞するというもの。各局長は事前テストを活用し、自局の代表社員を選抜。代表社員はポータルサイトに掲載された問題を自局で解き、支社へ回答を送付する形で第1次(部会)予選へ参加したが、予選参加局は1336局(参加率96.25%)と高い参加率となった。回答を支社が採点し、各部会の上位者を選考して第2次(地区連絡会)予選の進出者を決定した。
 各地区連絡会の総務担当副統括局長が開催する第2次予選で、支社から提供された問題を解くこととなり、結果を踏まえて連絡会の代表社員を選抜。連絡会代表者が決勝大会に出場し、優勝を目指す仕組みだ。
 1次(部会)予選問題では1問目に東京支社の業務品質向上スローガンが問われた。「ミスは(   )!処理(   )!『まあいいか』は事故の元!」と穴埋めがあり、支社のスローガンを正確に覚えているかが判断された。
 〇を付けて正誤を問う問題では「改定後の学資保険において、学資祝金の受取人及び入院特約に係る保険金の受取人は契約者である」「新規申込みにおいて、被保険者が満12歳の場合、親権者が代理で記名押印する」「出生届出済証明である母子手帳は『母』と『子』の正当権利者確認書類、本人確認書類、生年月日証明書類として使用できる」などから選ぶものもあった。
 さらに近年窓口に導入されたCTM6の責任者承認に関するものや、保険証券(書)番号の解読、預り証の正しい取扱い、防犯チラシ、事務室内への私物の持ち込みに関する申請の正しいやり方、第三分野保険商品販売チェックシート兼顧客面談記録票の本社への送付の仕方、振り込め詐欺防止アンケートの実施年齢、保険金や返戻金の支払種別ごとの受取人など、予選段階でも勉強してなければ分からない問題が出題された。
 1次予選はJP-PCを使いながら参加するものだったが、出題範囲は郵便、貯金、保険、提携金融、防犯と幅広く、総合的な知識が問われた。また、30分以内に行うという時間制限や、他の教材などに頼らずに自力で解いていくという条件が設けられた。1次を通過した部会代表社員は、10月14日~22日まで各地区連絡会が開催した2次予選に挑戦した。2次予選も同様の条件の下で行い、24問への回答結果から成績上位者2~4人を総務担当副統括局長が選考し、地区連絡会の代表者として11月4日の決勝大会に進出した。
 決勝大会は東京支社で開催。長野善仁金融業務部長の「日頃の業務知識向上への探求心に感謝したい。この大会を楽しんでほしい」とのあいさつの後、53人の連絡会代表者が選択問題25問、必要帳票選択問題1問、模擬紙幣とハガキ査算実技1問、防犯ロープレ1問などに挑戦した。高いレベルの問題に苦戦しながらも日頃の実力を十分に発揮した。
 解答時間終了後は、支社の採点時間を活用して、テレビで活躍する「お米マイスター」の西島豊造氏の特別講話が行われた。「お米マイスター」とは、日本米穀小売商業組合連合会が主宰する米に関する専門職経験がある人のみ受験資格を持ついわば米の博士号のようなもの。決勝大会に西島氏を招いたのは、全国各地で米を生産する農家に対し、品質管理を徹底しながら消費者に選んでもらえる米づくりを行う努力や工夫が、郵便局の業務品質向上に通じると考えたためという。
 採点の結果、個人部門では1位前田康規課長代理(大田京浜島)、2位和田ひろみ課長代理(武蔵野上向台)、3位吉岡則貴課長代理(江戸川中央三)、畠山公博課長代理(豪徳寺駅前)、多田美紀子主任(吉祥寺南町)、団体部門は1位中央西部連絡会、2位多摩東部連絡会、3位西南部連絡会が受賞し、本社金融業務担当の佐野公紀執行役員も出席した推賞式では推賞状とメダル、楯が贈られた。プレゼンテーターを務めた會澤隆経営管理部副本部長が決勝大会での検討を称えるとともに、「出場者のさらなる活躍に期待したい」と締めくくった。


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