「通信文化新報」特集記事詳細

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第6780号

【主な記事】

自民郵政特 各団体からヒアリング
超党派のマイナンバー議連が発足

 自民党の「郵政事業に関する特命委員会」(細田博之委員長)は5月14日に郵政民営化委員会(増田寛也委員長)、翌15日の役員会で金融機関からヒアリングを行った。ゆうちょ銀行とかんぽ生命の限度額引上げは予断を許す状況ではないが、国会会期も8月末まで延長される見通しで、今後議論が本格化する。公明党の郵政問題議員懇話会も6月13日に全国郵便局長会(大澤誠会長)などからヒアリングを行う。上場まで数か月と迫る中、成長性をにらんだ郵便局の利活用が求められているが、石破茂地方創生担当大臣は5月8日の記者会見でマイナンバー制度について「郵便局との連携を日本郵政グループ、関係省庁と対話したい」と語った。12日の参院総務委員会では、民主党の藤末健三参院議員が超党派による『マイナンバー推進議員連盟』が同日に発足したことを明らかにした。

 5月14日の特命委員会で細田委員長は「郵政事業に関する検討を加速化しなければならない」とあいさつした。
 井林辰憲議員は「ATMのない郵便局がまだある。調べると簡易郵便局だったが、一般の利用者からすると区別がつかない」と指摘した。
 これに対し、民営化委員会の利根川一室長は「地方に行って(住民などの)意見を伺う中で、郵便局と利用者の距離が離れていることを感じた。民営化委の意見書もコミュニケーションに言及しているが、やはり地域の対話の真ん中に郵便局があってほしい」と思いを語った。
 中川雅治参院議員は「昔は地方に貸し付けていた郵便局の集めた資金を地方に回せる仕組みを構築し、地方創生にも活用することが考えられる」と述べた。
 役員会に出席した感想を柘植芳文参院議員は「こちらが考えている以上に金融機関は頑なな様子だった。やや時間をかけて調整し、風穴を開けていくしかないだろう」との見方を示した。
 先立つ8日、内閣府で行われた石破茂地方創生担当大臣の記者会見で通信文化新報は「マイナンバー制度を活用し、自治体と連携して郵便局が役立つことはあるか」と質問した。
 石破大臣は「マイナンバーを使って様々な行政がさらにきめ細かく丁寧に行われるようになる。個人の方々の情報やプライバシーの尊重を常に念頭に置きつつ、行政のさらなるきめ細かい対応、また国民の一人ひとりに不公正、不平等が生じないように的確な行政が納税者、国民の主権者の立場に配意しつつ効果的に行われることが重要と思っている。郵便局との連携について、内閣府としても関係省庁、日本郵政グループと対話しつつ、マイナンバー制度が意図する目的達成のために可能な限り連携を図ることは当然だ」と強調した。
 12日の参院総務委員会では藤末参院議員が「マイナンバー制度を活用した郵便局における行政サービスの拡大の進捗を伺いたい」と質した。
 これに対し、内閣官房の向井治紀内閣審議官(番号制度担当室長)は「マイナンバー制度を円滑に導入し、定着、発展させていくに当たり、我々は郵便局が必要不可欠なパートナーと考え、様々な関係者間で必要な調整を行っている。10月からのマイナンバーの通知は個人情報の保護に配慮し、安全、確実に届けるために簡易書留郵便を活用する方向で調整している。また、日本郵便の電子私書箱、いわゆるデジタルメッセージサービスになるが、再来年の7月から本格運用の始まる政府の個人向けのポータルサイトとシングルサインオンで接続し、シームレスで利便性の高い官民オンラインサービスを実現すべく調整している」と説明した。
 また「国民の利便性向上や情報弱者の方へのきめ細かなサービスを実現するため、個人番号カードを郵便局で交付、郵便局にマイナポータルへのアクセス端末や行政共通端末を設置するなども考えられるが、具体的な調整には至っていない。郵便局に協力いただけるのであれば大変ありがたい」と期待を寄せた。
 「このほかにもマイナンバー制度のインフラがマイナポータルとかマイナンバーカードを活用することによって、郵便局のポテンシャルを活かした利便性の高いサービスも考えられるため、関係者間で議論を深めていきたい」と語った。
 総務省の武田博之郵政行政部長は「マイナンバー制度に関連した取り組みとして、日本郵便は総務省のICT街づくり推進会議共通ID利活用ワーキンググループ(WG)で、電子私書箱に関する実証事業に参加いただいている。引っ越し先の住所を関係各所に通知するワンストップサービスの検証が行われている。総務省は実証事業の成果も踏まえつつ、マイナンバー制度に関して郵便局とどのような連携ができるのか、内閣官房とよく連携させていただきながら、日本郵政グループに協力していく」との意向を示した。
 藤末参院議員は「今朝、マイナンバー推進議員連盟という超党派の議員連盟が発足した。そちらと連携を取らせていただきながら議論を進めたい」と語った。



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