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第6763号

【主な記事】

地方創生の核に郵便局
石破大臣 地域マネジメントの役割を

 政府は1月22日、地方創生に向けて各自治体が取り組む「地方版総合戦略」の策定作業を支援するため「まち・ひと・しごと創生本部事務局」に事務次官級のポスト「地方創生総括官」を創設した。特区制度を担う内閣府「地域活性化推進室」も「地方創生推進室」に改組し、地方からの相談に応じる体制を整備。石破茂地方創生担当大臣は記者会見で「地域をマネジメントする組織は必要という認識は持っている。仮に〝地域マネジメント法人〟とするなら、そこで郵便局がどういう役割を果たすのかという論点が一つある。郵便局というインフラが地方創生に果たす役割は非常に大きい。関係者とも今後鋭意話をし、地方創生の一つの核になっていただきたい」と語った。

 石破大臣は1月22日の会見で「昨年末に地方創生総合戦略と長期ビジョンをまとめた。今後、各地方自治体が総合戦略を策定することになる。衆知を結集し、政府としてワンストップで支援することとしたい」と述べた。
 通信文化新報の「郵便局を地方創生に活かす施策に対する考え方は」との質問に対し、石破大臣は「自治体大合併が行われ、それぞれの地域、村や町の役場などの行政が消え、いわゆる地域集落への行政の光の当たり方がかつてより少なくなってきた。当時から郵便局が果たす地域維持への役割の大きさはよく認識している。地方創生担当大臣に就任以降、日本郵政の西室泰三社長とそうしたことについて意見交換した」と明かした。
 また「地域に残るオフィシャルな機関として、例えば郵便局がある。あるいは最近は撤退ぎみのため、それ自体はいかがなものかと思うがJA、あるいは土地改良区、社会福祉協議会など様々なものが残っている。合併したものを戻すなどは非現実的で、それぞれの地域で地域をマネジメントする組織は必要という認識を以前から持っている。仮にそれを〝地域マネジメント法人〟とするなら、そこにおいて郵便局がどのような役割を果たすのかという論点が一つある」と強調した。
 「もう一つ、自分の選挙区のことで恐縮だが、鳥取県八頭郡千尋町は地域創生の取り組みでもかなり先駆的なところだ。郵便局が〝ひまわりサービス〟という郵便に携わる仕事を行う際、地域に住む一人ひとりの動静などを把握し、住民の利便に資する活動に相当以前から取り組んでいる。郵便局というインフラが地方創生に果たす役割は非常に大きいと考えており、関係者の方々とも今後鋭意話をし、地方創生の一つの核になっていただきたい」と期待感を示した。
 地方創生総合戦略の骨子(案)は、「長期ビジョン」に示された日本の人口の現状と将来の姿を踏まえ、将来にわたって活力ある日本社会を実現するための5か年計画を提示。毎年定期的に見直し、必要な改訂を加えることを前提に策定された。
 基本的視点の第1に、人口減少が地域経済の縮小を招き、縮小からさらに減少を生じてしまう悪循環を断ち切り、好循環を確立することで新たに地方への人の流れを生み出すことを掲げている。2点目には、特に若い世代の東京圏流入に歯止めをかけ、就労や結婚、子育てができる社会経済環境を作り出すことや、中山間地をはじめ地域が直面する課題を解決することで、各地域で心豊かな生活を確保できる体制を目指している。3点目として、町に活力を取り戻す安定した雇用形態、やりがいのある仕事を満たす〝雇用の質〟を重視することなどを盛り込んだ。また、一生におけるライフサイクルを切れ目なく支援するとしている。
 「まち・ひと・しごとの創生に向けた政策5原則」の一つに「地域性」を掲げ、各地域が客観的データに基づき、実情分析や将来予測を行い、地方版の総合戦略を策定。戦略の進捗を客観的指標(KPI)で検証し、改善する仕組み(PDCAサイクル)を確立することを求めている。国は関係施策の目標、内容や条件などを関係省庁間で統一し、パッケージ化するとともにワンストップ型の執行体制の整備に努める。
 全国一律ではなく、各地域が必要な施策を選択できるように支援施策をメニュー化。「日本版シティマネージャー」派遣制度や「地方創生コンシェルジュ制度」による人的支援を行うことを盛り込んだ。
 総務省は「まち・ひと・しごと総合戦略における主な施策」として、筆頭に自治体が核となり、雇用吸収力の大きい地域密着型企業を全国で1万程度立ち上げる「ローカル10000プロジェクト」の推進を掲げている。
 また、全自治体の共同データベースとなる「地域の元気創造プラットフォーム」に新たに日本貿易振興機構(ジェトロ)と中小企業基盤整備機構を接続し、ジェトロが海外企業の地方への誘致や地元産品の海外への販路開拓を推進するとともに、各地の中小企業のデータを自治体の地域振興策に活用。意欲ある若者を地方に隊員として派遣し、「地域おこし協力隊」を拡充することや集落レベルの地域協議会を行い、準スキル人材派遣や他地方都市などからも受け入れる施策を盛り込んだ。
 このほか、過疎集落などを対象に「集約」と「ネットワーク化」を図りながら生活を営む地域産業振興の取り組みをモデル的に支援する「集落ネットワーク圏の形成」、好評を博したふるさと納税について「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を創設する「ふるさと納税の拡充」も明記した。
 総務省郵政行政部は「郵便局は公益性・地域性を発揮して地域における生活インフラとしての機能を果たし、その維持、強化を図っていくことが地方創生の推進に寄与する。日本郵便は、郵便局ネットワークを活用しながらふるさと小包の販売や証明書の交付事務、郵便局のみまもりサービスなどを実施している。総務省としては日本郵便が地域の実情、ニーズにきめ細かく対応してそのネットワークを活用して地方創生の推進に資する取り組みを行ってほしい」と期待を寄せている。



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