「通信文化新報」特集記事詳細

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第6757号

【主な記事】

注目される「郵便局活用」
地方創生 総合戦略を年内にも策定

 年内にも策定される「まち・ひと・しごと創生法」(地方創生法)の総合戦略に郵便局の地域貢献のノウハウなどを含む地域活性化策が盛り込めるかが注目を集めている。創生法は改正地域再生法と共に11月21日、参院本会議で自民、公明、次世代の党などの賛成多数により可決、成立したもので、2015(平成27)年度から5年間の人口減少対策の取り組み方針を「総合戦略」として策定することを明記。閣議決定は衆院選を挟んだためにこれから行われる。東京への一極集中を是正するため、出産や育児をしやすい環境づくりや地方での雇用創出を進めることを基本理念に、まち・しごと・創生本部(本部長=安倍晋三首相)が年内にも総合戦略を決定する。郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟(郵活連=野田毅会長)では山口俊一幹事長や柘植芳文事務局次長などを中心に、町づくりや防災などの地域活性化策について郵便局を活用できるように提言していくという。

 法律は地方創生特別委員会を経て決定されたものだが、審議されていた期間中には参院総務委員会で藤末健三参院議員からも「地方創生のために地域のインフラとして郵便局を活用すべき」などの質問も出されていた。
 地方創生に関する法律は「まち・ひと・しごと創生法」と「地域再生法の一部を改正する法律」の二つに分かれている。創生法は、地方創生の理念や全体的な戦略策定の方法などについて定め、改正地域再生法は、地域の活性化に取り組む自治体を支援するためのものとなっている。創生法では、年内に決める総合戦略に基づき、都道府県と市町村に16年3月までに各地の実情に応じた地方ごとの総合戦略を策定する努力義務を課した。一方、改正地域再生法は、自治体が企業立地の促進などの地域支援策を申請する場合、国の窓口を一本化。手続きを簡素化して自治体の負担を軽くする。
 創生法第1条には「少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正する」と記され、国民が出産や育児に前向きになれるような制度の整備、地域における社会生活インフラの維持、地域における雇用創出、国と自治体の連携などを基本理念に掲げている。改正地域再生法では、これらの施策が滞りなく進むよう、省庁縦割りの弊害が出ている地域活性化策を地方再生本部に統合することを目的としている。
 創生法は、政策の目的や全体的な戦略策定の方法など、大きな枠組みを定めたものとなっており、細かい施策を決定するものではない。既に9月3日に設置された「まち・ひと・しごと創生本部」の根拠法となるもので、本部は全体に関する議論を行い、各自治体は閣議決定された戦略に基づいて、地域の状況に合った個別戦略を決定。戦略を策定したのみでは終わらないような仕組みになるよう工夫されている。
 最初に議論される可能性が高いのは地域の雇用問題で、大都市から地方に戻った人材を雇用した企業に対する補助金や、観光など地域資源を活用した産業振興策が検討されることが予測されている。地域の人材育成策や地方大学の活性化策、婚活や子育て支援策の充実や世代間交流を充実させる施策なども検討される見通しだ。
 全国郵便局長会(大澤誠会長)は現在、各地の郵便局が行っている実践的な地域貢献活動などについて自治体とより深い連携ができるように各地方会に呼びかけていく方針。議連も郵便局からの提案や要望を受けて、郵便局の利活用を総合戦略に盛り込むように働きかけていく。


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