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第6754号

【主な記事】

消費税特例措置、限度額撤廃を
関連大臣に申し入れ 郵活連が決議文

 自民党の「郵便局の新たな利活用を推進する議員連盟」(郵活連=野田毅会長)は11月14日、会社間窓口委託手数料に係る消費税の特例措置やバブル時代から変化のない金融2社の限度額の撤廃を求める決議文をまとめた。17日に石破茂地方創生担当大臣、18日に稲田朋美政調会長、高市早苗総務大臣、19日に谷垣禎一幹事長に提出。6日に開催された郵活連の役員会で、柘植芳文参院議員や全国郵便局長会の大澤誠会長などから要望や指摘があったことを受け、郵活連役員議員らがまとめた。13日の党税制調査会(野田毅会長)、18日の郵政政策小委員会(中谷元委員長)と郵政事業に関するプロジェクトチーム(PT=山口泰明座長)の合同会議でもこれら問題を提起し、超高齢化、人口減少という時代を取り巻く変化を踏まえ、風穴を開けようと動いている。





 会社間窓口委託手数料に係る消費税の特例措置は、以前の自民党政権、民主党政権、現在の自民党政権と2005年度から総務省の税制改正要望として提出されており、今回で11年目。現在は年間約700~800億円程度に上り、郵政グループの経営を大きく圧迫している。
 党税制調査会では例年減免措置が検討されてきたが、昨年度も「引き続き検討」となっている状況だ。今年度は導入可能性の観点から、初めて仕入れ税額控除という措置が求められているが、郵政関係者からは厚い壁を破るために政治の後押しに期待がかかっている。
 一方、限度額については、ゆうちょ銀行が23年間、かんぽ生命が28年間見直しが行われていない実態を踏まえ、超高齢化社会に突入した時代の変遷や地方創生の観点からも要望している。
 バブル期とは異なり、過疎地を中心に金融機関が撤退していく中で、郵便局しか金融機関のない自治体が全国には23も存在する。国民の利便性の観点から限度額は早期に解決すべき問題と長期にわたり関係者から指摘されてきた。
 郵活連がまとめた決議文の前文は「改正郵政民営化法では将来にわたり、郵政グループが全国に広がる郵便局ネットワークを維持し、金融のユニバーサルサービスの提供を明確に義務付けた。他の企業と比べて過大な負担や規制は除かれるべき」と強調。
 また、「郵政グループは2015年秋にも持ち株『日本郵政』の株式を上場する予定で、上場企業として一層の企業価値を高めるための新たな事業施策を展開させ、投資家から評価されるとともに真に郵政民営化による果実を全ての国民が享受できるように政治の場で解決に向けて取り組んでいく必要がある」と明記された。
 要望事項の第1に、「ゆうちょ銀行およびかんぽ生命が日本郵便に支払う委託手数料に係る消費税の仕入れ税額控除の特例措置の創設」を掲げ、2点目に「ゆうちょ銀行およびかんぽ生命の限度額制度の撤廃」を盛り込んだ。このほかにも「地方創生のための郵便局の利活用の推進」や「ゆうちょ銀行新規業務の早期認可」などを求めている。
 6日の郵活連役員会で全特の大澤会長は「我々は民営化して、民間企業と同様に法人税を払うようになったが、国営時代の規制は今も残り、手足を縛られている状況。何とか解決したいとの切実な思いがある」と訴えた。
 柘植参院議員は「限度額は現場の営業の幅を非常に狭めてしまっている。高齢化社会の中で地方では銀行も撤退している地域も多く、郵便局に限度額があると年金を預ける場所がない。社会政策上も、ゆうちょ銀行の限度額を1000万円とするのは不合理で経営を阻害している。せめて普通貯金だけでも幅を広げてほしい。ぜひ風穴を開けていただきたい」と強調した。
 江藤拓衆院議員は「地方の厳しい実態を見れば、ゆうちょ銀行だけ限度額や業務を規制されているのはどう考えてもおかしい。改正郵政民営化法で金融ユニバーサルサービスが義務付けられたのだから適正にしなければならない」と指摘した。
 佐田玄一郎衆院議員は「銀行業界は以前、早く株式を売却すべきと言っていたが、最近は半分売却すると新規事業が届出制となってしまうために『早く売るべきではない』と主張しており、矛盾している。限度額は過疎地でまず引き上げることが必要だ。地方が自立するためにも郵便局の利便性を高めなければならない」と語った。
 森山裕事務局長は「田舎では、年金の預入で限度額を超えた部分がタンス預金になっている。限度額を撤廃しても民間金融の預金がゆうちょ銀行に流れるものではない」と分析した。
 山口俊一幹事長は「田舎の年金受給者から陳情などを取れないものだろうか」と提案。野田会長はこれら意見を受けて、「議連だけでなく政策調査会直下の郵政政策小委員会や郵政事業に関するプロジェクトチーム(PT)を動かしていかなければならない」と強調した。


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