「通信文化新報」特集記事詳細

 年/月

第6750号

【主な記事】

西室社長
郵便局は“地域の砦”
ネットワークを着実に確保

 日本郵政の西室泰三社長は10月22日の記者会見で、地方創生における郵便局の果たす役割を「郵便局ネットワークを着実に確保していくことが我々の使命。政府の方針に前向きに応えたい。郵便局は地域の最後の砦。潜在能力は無限だ。どこまでもやる覚悟がある」と強調した。また、2015(平成27)年用年賀葉書の10月30日の発売開始、10月29~31日の3日間に幕張メッセで開催される「第2回通販ソリューション展・秋」への日本郵便出展などを前向きに紹介した。一方、日本郵政の上場については、金融2社を含めた上場スキームを年内、遅くとも1月には発表したいとの意向を示し、日本郵政の1回目の売り出しで大規模な処分はしない方針を明らかにした。上場に関わる26年度決算の上半期の業績は11月14日に発表される。

12月にも上場計画を発表
 西室社長は2015(平成27)年用年賀葉書について「10月30日に全国の郵便局で販売が開始される。同日朝、日本郵便の髙橋亨社長を中心にJPタワーのKITTEで販売セレモニーが行われる。キャラクター年賀など多種多様な年賀葉書、お線香便り、郵便年賀.jp(専用サイト)などもぜひ活用願いたい」と意欲を示した。
 また、日本郵便の通販ソリューション展出展に向けて「決済機能を提供する日本郵便ファイナンスも営業開始し、5月の初出展から一歩進んで、受注から発送までの物流管理システムも完成するなど前回以上にトータル物流をサポートできる体制で臨む」と力強く語った。後に稲澤徹常務執行役員から「お客さまの利便性に最大限配慮した柔軟性のある最新のシステムを整備した。ビックサイトの時は180社程度の出展だったが、今回はさらに出展社数も増える。日本郵便のスペースも2倍となる」などの補足説明があった。
 西室社長はまた、危険ドラッグの送付に日本郵便のサービスが悪用されないように「代金引換サービス受取り時の本人確認徹底を今月末から実施する。関係機関と密接な連携を行い、有効な対策を講じていく」と述べた。
 一方、上場については「主幹事証券会社11社が決定し、証券代行業務の委託先に三井住友信託銀行を選定した。主幹事証券会社の協力の下、金融2社の株式処分も含めたトータルの上場スキームの検討が進められている。11社のコンセンサスができた場合に12月末、もしくは1月めどに上場スキームを発表したい」との方針を示した。
 記者団の「上場時の売り出し株数はどの程度を想定しているか」との質問に「株式市場の方から『あまりの大型上場は市場を混乱させるため、なるべく控えめに』との意見をいただいている。例えば、10兆円を一挙に売却するなど大規模な上場は考えていない。今年最も大きかったリクルートの上場は1兆数千億円。そのあたりが市場に歓迎されると思われるが、11社の方針に沿いたい」と語った。

 「証券代行業務に三井住友信託銀行が選定された理由」については「候補社の提案を面接も含めて評価した結果、各項目の満足度が最も高かったのが三井住友信託銀行だった」と説明。一方、「春闘にどのように取り組んでいくか」には「連合の統一目標がベースアップ2%との情報があるため、JP労組もその程度と予測している」と答えた。
 「地方創生において郵便局が果たす責任とは。郵便局ネットワークの潜在能力は今、どの程度引き出せて、どの程度の余力があるか」には「郵便局ネットワークを着実に確保していくことが我々の使命。地方創生のプログラムの中で郵便局にさらに公的な手伝いをしてほしいなど要請があれば、政府の方針に前向きに応えたい。石破茂内閣府特命担当大臣(地方創生)とも話をしている。ただし、国と自治体の予算配分については各地方で特色があるため、全国の郵便局を一律に考えるわけにはいかないかもしれない。郵便局は地域の最後の砦。潜在能力は無限だ。どこまでもやる覚悟がある。しかし、全体の経済合理性は見ていかなければならない」と語った。
 「みんなの党の主張する過剰資本と、ROE(株主資本利益率)のレベルなど対する現状認識は」については「今、世界の金融機関の潮流は規制強化の方向にあり、さらに資産を増やしておかないと危ないかもしれない。日本では3メガが対象とされるが、3メガに等しい資産規模を持つ郵政グループは国際的な立場から見て最も安定したポジショニングを確保すべきだ。その意味で、我々が持つ資産を減らすのは世界全体の金融安定性への期待に反する動きだと思う」との見方を示した。
 「金融2社は極めて大切な部分。その株式価値を上げていく方策をとることにより、郵政グループ全体の効率的な資産運用ができ、将来に対する期待が高まっていくはずだ。どのような結果になるかはスキームが決まる前のため分からないが、金融2社の上場を4~5年も間を置いてしまうのではなく、持株の日本郵政を上場する時に、金融2社の上場計画を公開して、上場の第1段階だけは同じような時期に踏んでおきたい」と述べた。
 通信文化新報は「さいたま中央局の空きスペースに保育園を整備するのは一般向けの施策のようだが、将来的に郵政グループ社員向けの保育施設などを整備するなどの構想は」には「今は考えていないが、空きスペースの活用には様々なアイデアがあると思う。4年先には大手町に本社移転をする予定のため、保育のことなども十分考えていきたい」と語った。


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