「通信文化新報」特集記事詳細

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第6749号

【主な記事】

班機能を強化、収益向上へ
日本郵便 郵便業務班長全国大会
“人こそ宝”育てるマネジメント

 日本郵便は10月10日、北海道のホテルエミシア札幌で「2014年度郵便外務班長取組発表全国大会」を開催した。最前線の班が意見交換し、成功事例を学ぶことで「現場に求められるニーズ」を探ると同時に、集配の核となる班機能を強化。エリアマネジメント局と共に収益を生み出す体制を作ろうと毎年開催されているもので、5回目を迎えた。髙橋亨社長、福田聖輝副社長、諫山親専務執行役員、上沼雄治常務執行役員、稲澤徹常務執行役員のほか、全支社長が一堂に会す中、班長の熱意とマネジメントによって班活動が活性化し、郵便局の安全ブランドを継承しながらも打って出る人材が育つ13の好事例が発表された。

 髙橋社長は「郵政グループ中期経営計画『~新郵政ネットワーク創造プラン2016~』のターゲットを決めるに当たり、昨年度の発表大会の勢いに背中を押されて高い目標を掲げることができた。昨年度決算でも、郵便事業は民営化後初めて営業収益が対前年度を上回った。下支えしているのが、ゆうパックやゆうメール。皆さんの活躍のおかげだ」と感謝の意を表した。
 また「かもめタウンも、地域のお客さまのビジネスに大いに活用いただいている。この前進を年賀葉書販売に活かしてほしい。昨日、初の全国外務班長会議を開催し、グループ討議が行われた。班全員が気持ちを一つにするには苦労もあるようだが、班長業務に取り組める支援策を本社も考えている。もはや我々は、これまでの延長線を歩んでいるわけではない。飛躍的な成長を遂げなければならない。知恵と工夫を絞り込む段階に入った。グループ内でも『日本郵便、郵便局、頑張れよ』と期待がかかっている。ますますの勢いを以て底力を発揮する時だ」と力強く語った。
 発表に入り、南関東、四国、東北、信越、沖縄、北海道、近畿、九州、東京、関東、北陸、中国、東海の順に各支社代表が10分間ずつ取り組みを披露した。金賞は九州支社代表の博多北局第二集配営業部第1班、銀賞(ファーストパーソン特別賞同時受賞)は北陸支社代表の敦賀局郵便部第2班、銅賞は東京支社代表の渋谷局第一集配営業部第2班、特別賞としてリーダーシップ金賞が関東支社代表の取手局集配営業部第1班に、郵便体操奨励特賞に信越支社代表の長野東局第二集配営業部第8班が選ばれた。
 金賞の博多北局第二集配営業部第1班の谷口将課長代理と補助者の安武美佐子さんは“人こそ宝”との信念に基づく人材育成などの取り組みを発表した。交通安全の取組では、朝のミーティングで前日までの要注意個所を確認し、班で情報を共有。昼間のミーティングで再確認し、その日の積載量に合わせて乗車訓練し、出発させる。2565日無事故を継続中(平成26年10月9日現在)だ。谷口班長は、営業の苦手意識を克服する簡単な声かけを班員に伝授。声かけに抵抗がなくなった班員は、すべての種目で成績が急上昇した。人を育てるマネジメントが成果を上げている。
 銀賞(ファーストパーソン特別賞同時受賞)の敦賀局郵便部第2班の吉田淳也課長代理と補助者の田邉大輔さんは、コミュニケーション不足、年の差による相互の遠慮などを克服していく様子を紹介した。吉田班長は森田副班長と徹底的に話し合うことからスタート。新班長として通区を増やし、各担当制を導入。副班長が前向きに変わることで物静かだったメンバーが同行訪問を希望し、班員が自発的に取り組む環境が整った。班長頼みのチームプレイではなく、班員自らが生み出すチームワークができ上がった。
 銅賞の渋谷局第一集配営業部第2班の酒井裕也課長と補助者の門下光希課長は「当たり前のことをすれば結果はついてくる」との信念の下、班員との夜ミーティングを連日行って班員にチャンスを与え、自信を持たせることに取り組んだ。プロセスを重視した営業活動を行い、非効率さを排除するためターゲット企業データを一元管理。かもめ~るやカタログ商品も前年度に比べ4割増を達成した。「通区訓練が重要」と強調した。
 特別賞のリーダーシップ金賞に輝いた取手局集配営業部第1班の吉田弘美課長代理は、補助者の幸田彰孝さんと共に「子育て同様の人材育成」のきめ細やかな指導状況を紹介した。非番などの二輪車に乗車し、ブレーキの利きや不具合がないか点検し、新入社員は一人ずつの随伴点検を実施。新人には道筋を立てた訓練を行い、訪問時の不安などを聞き出しながら直接アドバイスを行う。13支社中、最長の10年間無事故を継続している。
 特別賞の郵便体操奨励特賞の長野東局第二集配営業部第8班の高橋雄一課長代理と巻渕広幸課長代理は、コミュニケーション不足で営業意識が根付いていなかった班の雰囲気を改善するため郵便体操を提案。大きな声を気持ち良く出しながら規則正しく動くリズムを営業や安全面に活用した。仲間意識が深まり、応受援体制の確立により新規開拓も実った。一人の百歩より全員の一歩を目指し、体操部も発足。部は人材育成や品質向上に向けて大きく貢献している。 
 講評では、上沼常務執行役員が「どれも素晴らしく甲乙つけがたい。共通点は、課題を明確化してリーダーシップを発揮した点。相談しやすい環境を作り、風通しの良い職場にするのは基本だ。無事故は取手をはじめ、素晴らしい実績を挙げている。得意分野でモチベーションを上げ、担務を超えた応援体制など好事例を横展開していただきたい」と語った。
 稲澤常務執行役員は「どのチームも知恵を絞り、営業時間を生み出している。短時間の声かけ、ペアでの取り組み、一元管理シートなど様々あるが、班長が明確な目標を掲げられるかが成果に直結する。人材育成はまさに子育て。約9000人の班長が、同じ思いで努力すれば日本郵便は間違いなく飛躍できる」と強調した。
 第2部で福田副社長は「素晴らしい取組をスピード上げて即座に実行に移し、日本一を目指そう」と呼びかけた。諫山専務執行役員は「レベルとパワーがアップした熱の込もった発表に感動した。我々はもっと頑張れる」と期待感を示した。


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